医療機器業公正取引協議会は6月30日、東京・東日本橋の事務所で記者会見し、昨年、贈収賄をめぐって逮捕者を出したHOYA Technosurgical株式会社(後藤哲一社長)に対して、同日午前中、公正競争規約違反があったとして厳重警告を申し渡したと発表した。

向かって右が関尾順一顧問、左が齋藤隆明専務理事
昨年4月、警視庁捜査2課は、独立行政法人労働者健康安全機構東京労災病院の医療機器調達を巡り、業者に便宜を図った見返りに現金50万円を受け取ったとして同病院の整形外科副部長の医師を収賄容疑で、医療機器メーカーのHOYA Technosurgical(以下「HOYAテクノ」という)の営業部長と営業部社員の2名を贈賄容疑で逮捕した。同事件は昨年8月、執行猶予付きの実刑判決が出て確定しているが、HOYAテクノは第三者調査委員会を設置して報告書を提出。これを基に医療機器業公正取引協議会(以下「公取協」という)が公正競争規約違反の調査を進めていて今回の措置となった。
公取協によると、HOYAテクノは、東京労災病院の医師2名に対し、自社製品を使ってもらうたびにポイントを付与し、そのポイントに応じて飲食の供応接待や現金提供を行っていた。接待や現金の総額は、2018年から2023年までで45件322万円であった。このうちみなし公務員である医師に対しては272万円を使っていたという(もう一名は途中で民間病院に転職)。また、HOYAテクノは、このほかにも同期間に41医療機関の医師130名に対して116件、905万円の供応接待を行っていた。公取協はこうした行為を、取引を不当に誘引する手段として景品類を提供することを禁止する公正競争規約に違反すると判断した。HOYAテクノは1年後に再発防止策を提出することになっている。
今回の事案の特徴について公取協の関尾顧問は、「医師からの露骨な要求、売り上げ至上主義、すべて虚偽の申請」を挙げている。
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