簡便・迅速に対応できる糖尿検査装置や診断薬などの市場が、昨年に比べて2011年には50%以上伸びるとの予測を、市場経済の富士経済が発表した。08年度から始まる特定健診では、メタボリックシンドロームの該当者や予備群を抽出し、リスクの程度に応じた保健指導が行われることになっており、その影響などから市場が膨らむと予想している。
調査は、同社の専門調査員によるヒアリングにより行われた。それによると、検査室で糖尿病検査項目を大量に処理するための大型装置、診療所や外来などで患者診察時に用いる小型装置ともに特定健診の実施で需要が膨らむとしている。
大型装置の普及はピークを迎えているものの、買い換え需要とも相まって納入台数が上向くと分析。小型装置は、安価でユーザー数の多さから大型装置以上の普及が予想されるという。装置の需要増により診断薬の実績も伸びるとしている。
その結果、11年の糖尿病検査装置、同診断薬市場は06年に比べ56・9%増の37億3200万円となると予測した。
また、別に調査した自己血糖測定システムは、患者人口が増えるに従い市場拡大を続け、11年の市場規模は06年に比べ37・3%増の741億5000万円と予測した。同社は「11年くらいまでは装置の納入台数が年率6%程度、診断薬の出荷数量が年率10%程度と、順調な推移が予測される」と指摘した。
予測した背景として、「リース撤廃の副産物として一部の企業を中心に、装置と診断薬の低価格化が進んでいるが、それ以外の企業は価格維持の姿勢であり、金額ベースの市場予測は、低価格化が一部に止まると予測し算出した」と説明している。
詳細は、調査報告書「2007 SPOT検査市場」にまとめられている。簡便・迅速な検査を「SPOT検査」(富士経済の造語)と呼び、感染症や心筋マーカーなど医療機関内外の検査装置・診断薬市場を分析している。A4判234ページ、価格は10万5000円(CD”ROM付11万5000円)。