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リーディングカンパニーとしてグローバル化を

2014年7月4日 (金)

 先日開かれた、武田薬品の定時株主総会は、3時間を超える異例の長さとなった。同社有力OBらで構成された「タケダの将来を憂う会」が4月に提出した事前質問状や、同会代表の原雄次郎氏の質疑などに対する長谷川閑史社長(現会長)の回答で白熱したためだ。原氏は、創業家一族の小西新兵衛氏の甥で、武田薬品旧清水工場長、武田薬品不動産社長などを務めた。

 原氏らの主な訴求点は、米ミレニアムに対する8800億円、スイス・ナイコメッドに対する1兆8000億円の投資効果と、外国人社長就任に対する反対姿勢だ。

 ミレニアムとナイコメッドの買収については「失敗」とする原氏らに対し、「癌領域の新薬開発や新興国市場への事業拡大面で、大変意義のある投資であった」と言い切る長谷川氏。

 配当性向100%を超える高配当(年間180円)の妥当性に対する質疑に「キャッシュフロー面で見れば配当額は妥当」と強調する長谷川氏の口調からも、「現在の高配当は、両社買収の成功を示す指標の一つ」という考えが見え隠れする。

 ミレニアムとナイコメッド買収に関する原氏と長谷川氏の見解は平行線を辿るばかりだが、まだ結論づけられる段階ではない。とはいえ、いずれ遠からずその結果がはっきりするのは間違いない。

 一方、外国人社長登用に対する社内外の波紋は大きい。原氏は、「武田が日本の企業でなくなり、固有のコア技術が海外に流出することが危惧される」と指摘。この質疑にも長谷川氏は、「クリストフ・ウェバー氏は、武田がグローバル企業として持続的成長を遂げるためのリーダーとしてふさわしい」と回答し真っ向から対立。さらに、ウェバー氏を招聘した大きな理由の一つとして、「武田イズムの理解者」であることを挙げた。

 だが、外国人社長が武田イズムを理解するだけで事足りるのか。そもそも日本の製薬産業は、国民皆保険制度の中で発展してきた。

 特に、日本のリーディングカンパニーである武田薬品の成長には、国民の力がより働いていると言っても過言ではない。今日のグローバル化も、国内で得た利益と知的財産のもとに果たされてきた。

 自動車業界で持てはやされたカルロス・ゴーン氏の登用は、業界2位の日産であったからこそ波紋が小さかったわけで、業界トップのトヨタではステークホルダーの理解は得難かったと考えられる。

 省資源・省資本のわが国において、製薬産業がもたらす国益への期待度は、他産業に比べて大きい。業界トップの武田薬品の舵取りには、武田イズムだけでなく、日本特有の制度の中で同社が発展してきた歩みへの理解が不可欠となるだろう。

 また、同社が描く海外事業展開は、新興国等への販路確立によるところが大きい感が否めない。武田薬品には、創薬メーカーの原点に立ち戻ってアンメットメディカルニーズの医薬品を創出し、国内リーディングカンパニーとして、さらなるグローバル化を遂げることを期待したい。




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