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在宅医療は幅広く、奥深い

2014年7月11日 (金)

 在宅医療の奥行きは深い。このほどいくつかの薬局や薬剤師会の取り組みを取材して、改めてそう実感した。

 奥行きとは何か。簡単にいえば、在宅医療の現場には、様々な切り口で薬剤師が取り組むべきことがたくさんある、ということだ。

 例えば栄養領域では、患者の生活に目を向け、▽3食きちんと摂っているのか▽体重は減っていないか▽自分の歯でしっかり噛んで食べているのか▽安全に飲み込めているのか――などをチェックすることが、一つの切り口になる。

 食生活に問題があるようなら、食欲不振や嚥下・咀嚼機能の低下など、その要因を推定。必要に応じて他職種につなぎ、対策を講じる役割が必要になる。薬剤師の視点からも、それらの要因が薬によるものなのか、評価することが欠かせない。

 さらに、在宅経腸栄養法(HEN)、在宅中心静脈栄養法(HPN)の実施においても、薬剤師の役割は重要だ。

 緩和ケア領域でも、オピオイドの投与量の調節を担ったり、嘔気・嘔吐、眠気、便秘などの副作用対策を主導したりするなど、様々なかかわりが求められる。安心感を与え、人生の最期をしっかり支えることが必要だ。

 これらは、ほんの一例に過ぎない。在宅医療は幅広く、各領域に奥深さがある。

 既に在宅医療に参画している薬局薬剤師は、それぞれの環境や実力、得意領域に応じて、その薬剤師なりに取り組んでいるのだろう。薬の効果判定や副作用の早期発見に役立つフィジカルアセスメントを修得するなど、意欲的な薬局薬剤師は多い。在宅医療に対する薬剤師の関心の高さを実感する。

 その一方で、患者宅や高齢者施設に薬を配達するだけだったり、そもそも薬剤師が全く在宅患者にかかわっていなかったりする事例も少なくない。こうした事例では、薬剤師がすべき業務を他職種が代替していたり、十分に実施されていなかったりするのではないか。

 こうした中、薬局薬剤師の在宅訪問業務には、副作用の発見や対応の推進、アドヒアランス向上、残薬減少、処方の問題点の是正などの効果があることが、今井博久氏(国立保健医療科学院統括研究官)を代表とする厚生労働研究班の大規模調査によって明らかにされた。

 薬剤師の在宅訪問業務の有用性について、患者や他職種から十分な理解を得られていないことが、薬剤師の在宅医療への参画を阻んでいるのだとしたら、このエビデンスを理解促進に役立ててほしい。

 いきなり高度な業務は展開できない。まずは来局する患者や家族から薬の管理状況を聞き取って、それを在宅訪問業務につなげるなど、第一歩を踏み出すことが肝要だ。参画してかかわるうちに、深い業務展開が可能になる。それが患者や他職種からのさらなる信頼獲得につながるという好循環を期待したい。




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