新人薬剤師・在宅医療研修で高評価
薬剤師あゆみの会(本部大阪市、理事長狭間研至氏)は、「質の高いコミュニティファーマシスト」の研修育成を主目的に、有限責任中間法人として2002年に設立。06年には薬剤師認定制度認証機構(CPC)から「薬剤師生涯研修認定制度」の研修プロバイダーとしての認証を受け、現在、参加企業を中心に展開する新人薬剤師研修や今後、薬局に必要とされる在宅医療分野の研修に力を入れている。
同会は、中小規模の調剤薬局十数社が集まり、各企業共通の課題であった新人や中堅薬剤師の能力育成を目指すところからスタート。各企業の現場での課題を積み上げながら構築された研修プログラムだけに、より現場に近い、実践的な研修内容となっている。全薬剤師を対象にした「認定薬剤師」取得研修と、同会会員のみを対象とした能力クラス別研修コースを提供する。
研修プログラムは能力クラス別に提供されるが、受講者はそのプログラムの中から集合研修やe‐ラーニング(現在140講座)等の課題を選択して個々に受講できる。認定薬剤師となるには集合研修(45分)、e‐ラーニング研修(60分)で各0・5単位を4年間で40単位を取得することが条件。現在、67人が同会認定薬剤師として活躍している。
各種集合研修会も、より効果的なものとするため、参加前と参加後に決まったe‐ラーニングコンテンツを受講し、研修内容を補完する活用方法をとっている。
また、新人薬剤師から薬局経営者までを対象とした4段階(ジュニア、ミドル、シニア、エグゼクティブ)の能力クラスを設定。能力評価として医療薬学中心の知識と、それを現場で生かすことのできる実務能力の二つを判定し、一定基準を満たせば、段階的にステップアップさせる研修制度を構築している。会員は、能力クラス別研修コース受講者は、能力クラス別の一定の研修が終了後、本人の希望で能力クラス昇級の能力検定試験を受けることができ、認定薬剤師の認定証とは別に、能力クラスの合格証も発行している。
注力する新人薬剤師向け研修は、2年間で合計3回のスケジュールで実施。初年度は、毎年5月に3泊4日の合宿形式での研修会を開催。ここでは、同会が掲げるコミュニティファーマシストとして地域医療の中で、調剤業務、在宅医療、OTCを活用したセルフメディケーションの推進などのプログラムを設定する。日々のルーチン業務ではなく、医療の最前線に立つという業務の意識改革を主眼とした内容を中心に取り組んでいる。
その後に、フォローアップ研修を2回実施。新人研修を実施した半年後には処方監査の重要性を集中的に実施。その翌年の3回目には、ファシリテーションスキルを学び、患者目線での服薬指導が実践でき、後輩薬剤師を育成できる能力までを身につけられるようにする。2年間の最終終了後に検定試験を実施しジュニアクラスへのキャリアアップも行える。また、新人研修は同じメンバーで2年間研修を受けることになる。このため、参加薬剤師の企業バックグラウンドや垣根を越えた同期生としての意識が高まり、その後も親交を深められるなど、新人研修を受けた薬剤師からの評価も高い。
また、薬剤師の在宅医療への展開に向けた在宅実践オープンセミナー(大阪、東京)は、在宅医療の最前線で活躍する講師を招聘し、薬剤師の在宅での役割や使命・今後の展開に関するシンポジウム、在宅医療の実践事例などの報告発表を行っている、希望する薬学生にはセミナー参加の機会を無償で提供。現場の薬剤師業務を示すことで、大学での講義とはひと味違った生の姿を垣間見ることができるとして好評を博している。また、在宅医療に取り組んでいない薬局薬剤師に向けた在宅実践研修会では、聴診器の使い方などバイタルサインのチェックができる講習会も実施し、在宅医療への第一歩の取り組みとして充実した内容となっている。
一般社団法人 薬剤師あゆみの会
http://www.ph-ayumi.org/