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利点感じる処方箋電子化実現を

2014年9月26日 (金)

 国は、2~3年をメドに電子処方箋を実現するためのe‐文書法改正(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)を実施する意向を示しており、近い将来の電子処方箋実現は間違いない。

 処方箋の電子化では、厚生労働省の医療情報ネットワーク基盤検討会が、その実現に向けて必要な環境整備の取りまとめを行ってきた。では、電子処方箋は、どのような利点があるのか。

 電子処方箋により医療機関と保険薬局が薬の情報を共有することで、▽相互作用や重複投与の防止▽アレルギー等の付帯情報による服薬指導の充実▽調剤した後発品の医療機関への簡便なフィードバック▽緊急時・救急時の慢性疾患患者の服用薬の確認――などの利点が生まれてくる。ひいては、「処方箋の偽造や再利用防止」「検査の重複防止」も期待できるだろう。

 一方、電子処方箋実現に向けて克服すべき課題とは何か。厚労省では、2007年から「処方箋の電子化に向けた検討のための実証事業」を国内5カ所で行ってきた。

 12、13年度に、香川県高松市で「健康情報活用基盤構築事業」、石川県能登北部地域で「シームレスな健康情報活用基盤実証事業」、大分県別府市で「処方箋の電子化に向けた検討のための実証事業」の実施は記憶に新しい。

 これらの実証事業の結果、制度運用面では、「処方箋の原本はどこにあるか」「個人情報は絶対に保護できるのか」が大きな課題として挙がってきている。

 実務面については、医療機関では、特筆すべき課題は見当たらなかった。だが、“紙の処方箋による運用”を前提とする保険薬局の課題は少なくないようだ。

 具体的には、「電子処方箋の端末が一つしかない場合、レセコン入力が終わるまで調剤や医薬品のチェックができないので、患者の待ち時間が長くなる」「薬剤師の人数分タブレット端末があっても、重くて使いにくい」「電子処方箋はメモができない」などの声が聞かれた。

 処方箋が電子化されても、「いかに安全な調剤が行われるか」が最重要となるのは言うまでもない。電子処方箋化への過渡期には、その内容を印刷したワークシート等の活用も考える必要があるだろう。

 保険薬局では、電子薬歴とレセコンを連動させて、入力やチェック支援はもちろん、会計、レセプト請求に至るまで、薬局業務を全て支援できるシステムの構築は不可欠だ。

 医療機関でも、電子処方箋の仕組みを電子カルテや請求システムに組み込むなど、総合的な電子化を考えねばなるまい。

 薬局におけるレセプトのオンライン化は98%まで進んでおり、医療機関のそれも避けては通れない流れにある。

 電子処方箋を含めた電子システムを開発する際には、患者や医療機関、薬局に、過度な負担が発生しない施策も忘れてはならない。

 処方箋の電子化を契機に、フランスの医療保険受給制度(ヴィタルカードシステム)のような、患者や医療機関がウイン・ウインの関係を構築できるような基盤整備を望みたい。




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