薬事・食品衛生審議会の医薬品第一部会・第二部で承認して差し支えないと結論された審議・報告品目は以下の通り。なお、第一部会で審議された維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「レグパラ錠」、第二部会での遺伝子組み換え人血清アルブミン「アルピースト注」「アルブレック注」の2成分は、他に類薬がないことから、9月の薬事分科会で改めて審議される。
■医薬品第一部会”医師主導治験で承認第一号
<審議品目>
▽プリモビスト注シリンジ(EOB・プリモビスト注シリンジに変更予定、バイエル薬品が輸入):成分名はガドキセト酸ナトリウム。効能・効果は磁気共鳴コンピュータ断層撮影における肝腫瘍の造影。再審査期間は8年。
▽クラリチン錠10mg、クラリチンドライシロップ1%(シェリング・プラウが製造)、クラリチンレディタブ錠10mg(同社が輸入):成分名はロラタジン。既に抗ヒスタミン薬として発売されており、今回は小児用量と、ドライシロップの剤形を追加。ドライシロップは日本独自で開発したもの。再審査期間は4年。
▽サラジェン錠5mg(キッセイ薬品が製造販売):成分名はピロカルピン塩酸塩。新効能として、シェーグレン症候群患者の口腔乾燥症状の改善を追加。再審査期間は4年。原体が毒薬、製剤が劇薬に指定される。
▽レグパラ錠25mg、同75mg(キリンファーマが製造販売):成分名はシナカルセト塩酸塩。効能・効果は維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症。2004年に米国で承認されてから、現在までに世界34カ国で承認されている。再審査期間は8年。
▽ディナゲスト錠1mg(持田製薬が製造販売):成分名はジエノゲスト。効能・効果は子宮内膜症。欧州で配合剤としての承認はあるが、単味剤での承認は世界で初めて。再審査期間は8年。
▽ケアロード錠60μg(東レが製造販売)、アイツー錠60μg(科研製薬が製造販売):成分名はベラプロストナトリウム。肺動脈性肺高血圧症の新効能、および新剤形・新用量医薬品で、優先審査の対象となった。従来品の徐放化製剤。再審査期間は4年。原体が毒薬、製剤が劇薬に指定される。
<報告品目>
▽アリセプト錠3mg、同5mg、同10mg、アリセプトD錠3mg、同5mg、同10mg、アリセプト細粒0・5%(エーザイが製造販売):成分名は塩酸ドネペジル。高度アルツハイマー型認知症への適応を拡大する新効能と、10mg製剤の新用量が加わる。従来は軽度、中度のアルツハイマー型認知症だけに適応があった。新たに10mg錠が承認されるため、毒劇物指定の要否を審議したが、10mg錠も従来と同様、原体が毒薬、製剤が劇薬に指定されることになった。
▽ノボラピッド注300、同注300フレックスペン、同注100単位/mLバイアル、同30ミックス注、同30ミックス注フレックスペン(ノボノルディスクファーマが製造販売):成分名はインスリンアスパルト(遺伝子組み換え)。原薬の製法変更のために申請。製剤の処方および製法、効能・効果、用法・用量は既承認製剤と同じである。
▽フェンタニル注射液0・1mg「三共」、同0・25mg「三共」(第一三共プロファーマが製造販売):成分名はフェンタニルクエン酸塩。全身麻酔、全身麻酔における鎮痛に対する小児の用法・用量を追加。医師主導治験により治験が進められ、迅速審査が適用された。医師主導治験による承認は同剤が初めて。
■医薬品第二部会”H・ピロリ除菌に二次療法
<審議品目>
▽rHSA原液、アルビースト注25%、同5%(三菱ウェルファーマが製造)、rHSA原液―バイファ、アルブレック注25%、同5%(バイファが製造):成分名は人血清アルブミン(遺伝子組み換え)。効能・効果はアルブミンの喪失(熱傷、ネフローゼ症候群など)およびアルブミン合成低下(肝硬変症など)による低アルブミン血症、出血性ショック。遺伝子組み換え技術を用い、ピキア酵母により産生・精製された製剤。ピキア酵母抗体の陽性者にはアナフィラキシー様症状が見られるため、使用に際しては抗体価を検査すること、また市販後に1万人程度の市販後調査を行うこととされた。なお、欧米では安定剤として販売されているが、医薬品としての承認は日本が初めて。再審査期間は8年。
▽タルセバ錠25mg、同100mg、同150mg(中外製薬が製造販売):成分名はエルロチニブ。効能・効果は、切除不能な再発・進行性で、癌化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌。ヒト上皮増殖因子受容体(EGFR/HER1)のチロシンキナーゼ阻害を目標として開発された分子標的治療薬。国内の治験で間質性肺炎の症状が見られたため、イレッサの教訓により、対象を他の化学療法無効例に絞ると共に、全例調査の実施などを承認条件として付す。再審査期間は8年。原体、製剤とも劇薬に指定される。
<報告品目>
▽ティーエスワンカプセル20、同25(大鵬薬品が製造販売):テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウ配合剤。新効能として胆道癌を追加。
▽[1]タケプロンカプセル15、同30、タケプロンOD錠15、同30(武田薬品が製造販売、成分名はランソプラゾール)[2]オメプラール錠10mg、同20mg(アストラゼネカが製造販売)、オメプラゾン錠10mg、同20mg(三菱ウェルファーマが製造販売、以上成分名はオメプラゾール)[3]パリエット錠10mg(エーザイが製造販売、成分名はラベプラゾールナトリウム)[4]パセトシンカプセル、同錠250(協和発酵が製造販売)、サワシリンカプセル、同錠250(武田薬品が製造販売)、アモリンカプセル125、同250、同細粒10%(アステラス製薬が製造販売)、アモペニキシンカプセル250(ニプロファーマが製造販売、以上成分名はアモキシシリン)[5]フラジール内服錠(塩野義製薬が製造販売)、アスゾール錠(富士製薬工業が製造販売、以上成分名はメトロニダゾール):ヘリコバクター・ピロリの二次除菌療法として、PPI+アモキシシリン(AMPC)+クラリスロマイシンの一次除菌療法不成功例に対し、PPI+AMPC+メトロニダゾールの二次除菌療法を認めた。国内外の文献に記載があるほか学会からの要望もあり、いわゆる二課長通知に基づく申請がなされ承認された。