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◆今までエビデンスを何よりも重視する西洋医学や薬学を中心に、取材活動を行っていた関係から、自ずとエビデンスの重要性は頭に入っていた。一方でエビデンスとは対極にあり、長年培った経験で用いる漢方薬に対しては、効果が曖昧、考え方が難しい、用語が難解といった印象を持っていたため、自然と後ずさりし、薬学部を卒業して以来トンとご無沙汰だった
◆ところがである。昨年頃から漢方薬関連の取材を少しずつ行うようになり、漢方や東洋医学に対する見方が変わってきた。漢方座談会などの企画・編集、東洋医学会の学会取材などに関わり、先生方の話を聞く中で、納得させられる場面にもたびたび遭遇した
◆漢方薬の効果などに対して、未だに否定的な見方をする医師がいるのも確かだ。しかし、外野から見て論じるのではなく、一度中に入って眺めてみると、案外と驚きが隠れているのではないだろうか
◆取材の際に機会があれば聞くようにしている。「先生が漢方の世界に入られたきっかけは何ですか」と。最初から漢方薬や東洋医学を志した人は決して多くはない。