田辺三菱製薬は、過敏性腸症候群(IBS)の再発症状改善薬「セレキノンS」(要指導医薬品)を、3日から全国で販売開始した。同品は、消化管運動調律剤トリメブチンマレイン酸塩を有効成分とし、IBSの再発症状を改善する日本初のOTC医薬品。昨年7月から九州・沖縄地区限定でテスト販売してきたが、「適正使用の啓発をサポートする体制が確立できたため、販売エリアを全国に拡大した」(同社)とする。
IBSは、腸に器質的な病変がないにもかかわらず、主にストレス等の原因により、腹痛や腹部不快感を伴う下痢や便秘などの便通異常が慢性的に繰り返される疾患で、日本では成人のIBS有病率は10~15%と言われている。多くの人は病気であるという認識がないため受診率も低く、繰り返す症状に悩まされている。そして、こうした状態がさらにストレスとなり、症状悪化のスパイラルに陥り、QOLの著しい低下にもつながってくる。
「セレキノンS」は、有効成分のトリメブチンマレイン酸塩(1日量の3錠中に300mg配合)が、ストレスなどで過敏になり、運動に異常を生じた腸の動きを正常化する。腸管運動が亢進している時は抑制し、低下している時は亢進させるというユニークな作用で腸管運動を正常化することで、下痢型・便秘型・混合型(下痢と便秘を繰り返す)など、いずれのタイプのIBSにも効果を発揮する。
同社が行ったIBS患者への調査では、9割以上が「IBSの予兆を感じる」としている(対象312人、複数回答)。具体的には、お腹(下痢)に不快感を感じる、軽い痛みを感じる、お腹がゴロゴロする、ハリを感じる、通常の便と違う便になる──などで、「セレキノンS」は予兆を感じた時から飲み始めることができ、症状が治まるまでお腹のつらい症状をコントロールする。
成人(15歳以上)1回1錠を、1日3回食前または食後に服用する。税別希望小売価格は20錠1780円。
同社では、昨年からのテスト販売では情報提供を整え、IBSの再発症状かどうかをチェックするシートを提供するなどして、「薬剤師による適正使用の啓発をサポートし、医療機関への受診勧奨、セルフメディケーションの推進、QOL改善や生活指導に貢献してきた」とし、今後も薬剤師へのサポートやブランドサイト(http://www.cerekinon.jp/)を通じて、適正使用のための情報発信に努めていく考え。