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一般薬流通は適者生存の時代か

2007年11月2日 (金)

 この数年間に、医薬品卸企業同士のM&Aによる寡占化が進む中で、特に一般用医薬品(一般薬)を取り扱う卸企業の変化が著しい。来年4月に予定されているパルタックとコバショウの合併などは、数年前までは全く予想だにしなかった内容だけに、一般薬卸が置かれる環境の厳しさをひしひしと感じる。

 これまで医薬品卸は、医療用医薬品メーカー系列を軸とした再編劇が主流で、言い換えればメーカーという川上に対するスケールメリット追求というベクトルがその中心にあった。しかし、一般薬では、この数年で台頭してきたドラッグストア企業との取引高の増大に伴い、ドラッグ各社の広域化対応や店頭取り扱い商材の拡充など、川下に向けた機能変化が常に求められるようになった。

 一般薬を手がける卸の多くは、店舗を次々出店し規模を拡大することでバイイングパワーを強めるドラッグ量販の動きに、従来の卸機能のまま対応していくことが次第に困難になり、業容拡大への変化を余儀なくされた格好だ。既に一般薬卸の存続に向け、[1]業態の枠を超えた食系や日雑系卸との統合・提携[2]一般薬事業統合などの広域連携――といった二者択一の様相を呈し、その方向で各社が動いているのが現状だ。

 また、卸の経営合理化や業務効率化を進める中で、大手量販店の対極に位置する薬局・薬店などの零細店に対する情報提供などのフォローも課題の一つとして残る。以前に比べ、一般店への訪問頻度が激減しているのもその一つ。中には「取引条件も厳しくなった」との声もある。市場経済が働く中でやむを得ない部分もあるが、「毛細血管型」と称される医薬品卸のきめ細かな対応は、一般薬流通には当てはまらない次元にまできている。

 こうした中で、あるメーカーが自社のOTC医薬品等について、来年4月から小売業者との直接取引を拡大する方向で調整を進めているという卸にとってはショッキングな話も浮上している。現在、水面下での折衝が行われているようだ。メーカー主導による、いわゆる「卸の中抜き」を行う施策だけに,卸側にとってインパクトは大きいはずだ。

 また、国内でもこうしたメーカーと小売業者の中間流通の『業』を担う,サードパーティ・ロジスティクス(3PL)と呼ばれるシステム物流事業を手がける物流業者が存在する。さらに、医薬品業界をそのターゲットとして展開している企業もあり、一般薬卸の物流機能は、将来こうした企業に取って代わられる可能性も否定できない状況にある。

 今年8月末に公表された新医薬品産業ビジョンでは、医薬品卸の将来像の機能分化の一つとして「大衆薬特化型」が示された。現在、一般薬は約6000億円市場だが、今でも暫減傾向にあり、今後、スイッチOTCの市場化促進で,どの程度市場が活性化するかは未知数の部分が多い。 医薬品販売制度の端境期を迎え、一般薬流通も企業の淘汰再編で適者生存の方向性が示されようとしているのかもしれない。しかし、一般薬を取り扱う卸がそれに特化する方向性は、現時点では、厳しい選択肢には違いない。

 医薬品は生命関連商品であることは紛れもない事実。特に一般薬はセルフメディケーションを推進する上で欠かせない。「毛細血管型」とはいかないまでも,小さな町の小さな薬屋でも、一般の人たちが満足に医薬品を購入できるような環境を整えることを、今後一般薬流通を担う企業には期待したい。




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