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ファイザーは13日から、世界初の選択的アルドステロンブロッカー「セララ錠25mg・50mg・100mg」(一般名エプレレノン)を新発売した。
エプレレノンは、アルドステロンに選択的に結合し、降圧作用を発揮する新しい作用機序の高血圧治療薬。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の最も下流に存在し、血圧上昇や心血管系の臓器障害を引き起こすアルドステロンの働きをブロックするため、ACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で十分な降圧が得られない患者にも効果が期待できる。
また、食塩摂取量が多い日本人に特徴的な低レニン型の高血圧患者で、より高い降圧効果を示す結果が得られている。
アルドステロンについては、既に1950年代から研究が進められ、その受容体拮抗薬が開発されている。ただ、男性における女性化乳房といった性ホルモン系の異常など、強い副作用が長く臨床的に問題となってきた。
こうした副作用を克服したのがエプレレノンで、国内における二重盲検比較試験でも、副作用はプラセボ群と同等の結果だった。
ただ、アルドステロンに直接作用するため、糖尿病性腎症や腎障害のある患者では、高カリウム血症を引き起こす点に十分な注意が必要とされている。
7日の記者会見で、慶應義塾大学名誉教授の猿田享男氏は、「腎障害や重症の糖尿病患者への投与さえ注意すれば、安全に使える薬で、利尿薬やカルシウム拮抗薬との併用も有効」と話した。
選択的アルドステロンブロッカーの登場により、降圧薬のラインナップはARBに次ぐ新たな選択肢を手に入れることになる。
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