日本製薬工業協会がまとめた東証一部上場の会員30社の2005年度決算概況(連結)によると、薬価改定の狭間の年だったことや一部製品の伸長、大手企業を中心に海外での大型主力品が伸びたこともあり、国内外とも売り上げを増やし、5.7%増の6兆3716億円となった。研究開発費は増加しているものの、売り上げの伸びで吸収し、営業利益も7.1%増の1兆3118億円となった。全体的には好調といえる結果だが、06年度業績予想は、4月実施の薬価改定の影響を大きく受け、売り上げはほぼ横這い推移し、厳しい決算になる見通し。
売上高の動向は増収21社、減収9社で、増収のうち11社は売上高1000億円超の企業(14社)で、減収のうち5社は同1000億円以下の企業(16社)だった。武田、アステラス、エーザイ、第一の増収の上位社は海外での主力品の伸びが貢献した。
国内売上高は、全体で3.3%の伸びで、1000億円超の企業は3.2%増に対し、1000億円以下では4.0%増と、企業の規模にかかわらず好調さがうかがえる結果となった。製薬協は、競争激化や販売移管などのマイナス要因はあったものの「薬価改定の狭間の中、生活習慣病を中心とした製品群およびインフルエンザ流行の影響を受けた一部製品における顕著な売り上げ増や、大型合併や事業買収があった」ことも寄与したと分析している。
一方、海外売上高の動向は、全体で12.1%の伸びで、上位社が大きく貢献した形となっている。
利益面では、研究開発費が12.3%増の9356億円となったが、増収や事業再構築などの経営努力によって原価率を低減もあり販管費の増も含め吸収し、営業利益を押し上げた。増益は17社、減益12社、不変1社で、減益は売上高1000億円以下の企業に多くみられ、9社に上った。
当期純利益は、特別利益が増加したことで18.4%増の8708億円。増益21社、減益9社だった。
増収増益は17社で全体的には好調といえる結果だが、06年度業績予想は、売上高は0.1%増にとどまり、当期純利益は5.7%減で、平均6.7%の薬価改定の影響を大きく受ける見通しとなった。