開催趣旨
一部の先天性遺伝疾患を除き、殆どの疾患は、遺伝的素因と環境因子の相互作用によって発症する。
そして、我々の体の内部に有りながら、疾患の環境因子(exposome)として最も大きな影響力をもつ環境因子は、腸内細菌叢、マイクロバイオームである。
近年、疾患を持つ患者の細菌叢の異常な環境、正常的な腸内細菌の分布多様性からの逸脱を、低分子医薬品、あるいは細菌そのものを用いて、修正し疾病治療を目指す「マイクロバイオーム創薬」が様々な創薬ベンチュアーによって開発されている。
また、マイクロバイオームは、炎症性腸疾患の創薬へのアプローチの1つとしても期待が高い。腸内細菌などの微生物叢を対象とした研究は1960年代より国内外で活発に推進されてきた。しかしながら、当時の技術では微生物叢の全体像の解明は難しく、研究の進展は大きく目を見張るものはなかった。2005年の次世代シークエンサーの登場し、それに伴うメタゲノム解析技術の発展と普及により大きく研究の進展が見られた。また、2008年より、欧米で微生物叢に関する大型プロジェクトが進み、様々な疾患とヒト微生物叢の状態との相関関係が見出された。
2013年、健常人の糞便を潰瘍性大腸炎患者に移植する便移植治療の有効性が実証され、バイオベンチャーが創設されるなど腸内細菌叢に着目した治療法開発が現実味を帯びた。近年は、同治療法の有効性を担う微生物集団の同定を目的とした研究も進められ更には個々の機能性分子の同定に至る方向性も見受けられ、大手製薬企業、食品企業も乗り出すなどヒト微生物叢を画期的な創薬シーズ源として期待する動きが産業界においても広がりつつある。
本講演では産学のこの分野の代表的な研究者によるこの分野での現状と展望を紹介いただく。
日時
2016年6月24日(金)13:00~17:30
会場
TKP市ヶ谷カンファレンスセンター3Fホール3C
主催
日本オミックス医療学会
理事長
田中 博 東京医科歯科大学名誉教授
共催
情報計算化学生物学会(CBI学会)
後援
株式会社シード・プランニング
定員
100名
参加費
会員/無料 非会員/7,000円 学生/2,000円
情報交換会
日時:2016年6月24日(金)17:40~19:40
会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター
参加費:3,000円
参加申し込み
申込フォームにて参加登録が可能です
*申込フォーム 参加申し込みフォーム 参加お申込みはこちらから
なお定員に達し次第締め切らせていただきます。
プログラム
総合司会:坂田 恒昭 氏 <日本オミックス医療学会理事>
大阪大学サイバーメディアセンター招聘教授
塩野義製薬株式会社 シニアフェロー
開会挨拶
13:00~13:10 田中 博 氏 日本オミックス医療学会 理事長
ご来賓挨
13:10~13:40
堀内 直哉 氏 内閣官房 健康・医療戦略室 企画官
江崎 禎英 氏 経済産業省 商務情報政策局ヘルスケア産業課 課長
講演
13:40~14:20
「ヒトマイクロバイオームのメタゲノミクス」
服部 正平 氏 早稲田大学 理工学術院 先進理工学研究科 教授
東京大学名誉教授
14:20~15:00
「腸内細菌と循環器疾患」
山下 智也 氏 神戸大学医学部附属病院 循環器内科 准教授
15:00~15:20 コーヒーブレイク
15:20~16:00
「プロバイオティクスおよびシンバイオティクスの可能性」
野本 康二 氏 株式会社ヤクルト本社 中央研究所 特別研究員
16:00~16:40
「2型糖尿病を誘起する腸内細菌の同定」
亀山 恵司 氏 味の素株式会社 イノベーション研究所フロンティア研究所 主任研究員
16:40~17:20
「マイクロバイオームと創薬」
田中 博 氏 東北メディカルメガバンク機構 機構長補佐・特任教授
東京医科歯科大学 名誉教授
閉会挨拶
17:20~17:30 浅野 茂隆 氏 日本オミックス医療学会 名誉理事長
情報交換会
17:40~19:40 会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター3Fホール3A