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薬局の定義揺るがす答申

2016年05月27日 (金)

 政府の規制改革会議は19日、規制改革に関する第4次答申を安倍晋三首相に提出。薬局において薬剤師不在時に、登録販売者が第2類・第3類の一般用医薬品を販売できるよう規制を見直すことを求めた。

 この規制緩和には様々なメリットが考えられるものの、懸念もある。薬剤師が常駐するのが薬局という概念を崩し、それが将来の薬剤師職能の縮小を促進する要因になり得るだけに、慎重な対応が求められる。

 現行の規制では、薬剤師不在時には薬局全体を閉めなければならず、当然一般用医薬品も販売できない。一方、店舗販売業においては、登録販売者のみで第2類・第3類の一般用医薬品を販売できる。

 そのため、調剤併設型ドラッグストアなどでは、同一店舗内を薬局区画と店舗販売業区画に分けて併設許可を取得。薬剤師不在時には薬局区画を閉鎖して、店舗販売業区画で一般用医薬品を販売するという運用がなされている。

 こうした背景から、薬局と店舗販売業の二重申請が必要な現行の規制では、手間やコストが二重にかかるなどとして日本チェーンドラッグストア協会は、その緩和を要望してきた。薬局申請のみで許可を受け、調剤業務を行わない時間帯については調剤室だけを閉鎖し、登録販売者がいれば第2類・第3類一般用医薬品や衛生用品などを販売できるように求め、その趣旨が第4次答申に盛り込まれた。今後、2016年度に検討して結論を出し、17年度上期に措置を行うスケジュールが示されている。

 この規制緩和にはいくつかのメリットが考えられる。調剤併設型ドラッグストアなどを展開する企業にとっては二重申請が解消され、経営上の利点がある。店舗の営業時間を延ばすなど柔軟な運用も可能になる。

 消費者にとっても第2類・第3類の一般用医薬品を購入できる機会が増える。1人薬剤師の薬局でも、登録販売者がいれば、薬局を開けたまま在宅医療の対応などで外出できる。現場の薬剤師目線から見ても、この規制緩和は魅力的に映るのかもしれない。

 しかし、薬剤師職能の視点から見れば、薬局の定義を揺るがすものになりかねない。薬局が営業していることはすなわち、そこに薬剤師が存在することを意味していたが、そうではなくなる。薬剤師が不在でも薬局を営業できるようになると、大げさにいえば薬剤師の存在意義にも関わってくる。

 これが蟻の一穴となって薬剤師職能の縮小につながる可能性は否定できない。この規制緩和は、薬局における登録販売者の職能強化とも見ることができる。その延長線上に、調剤業務の一部を登録販売者に委ねるという展開が待ち受けているのかもしれない。

 薬剤師資格保有者はそんな展開まで想像した上で、この規制緩和の是非を考える必要があるのではないか。



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