来月からいよいよ健康サポート薬局の届け出が開始される。その基準として、大きくは▽医療機関などの関係機関との連携体制の構築▽必要な研修を修了した薬剤師の常駐などの人員配置や薬局の開局時間の対応▽要指導医薬品等、衛生材料等を適切に選択できるような供給機能や助言体制など――が求められることになる。
今年4月の診療報酬改定で、薬局、薬剤師のかかりつけ機能が評価されることになったが「健康サポート薬局」は、さらに上乗せとして、薬局機能や薬剤師職能を、健康情報発信や相談対応の窓口機能として、そのリソースを地域で活用するための仕組みである。
当然ながら、処方箋調剤をはじめとする診療報酬上点数化された取り組み以外の部分にもスポットが当てられている。それは、一般生活者の主体的な健康の維持・増進を支援するという点だ。その中には、必要に応じた要指導薬や一般薬等の提供も含まれる。言葉的には医療用医薬品、一般薬も含めた「服薬情報の一元的・継続的把握」とされている。
つまり、医薬分業の進展で処方箋調剤中心の業務に移行してきた薬局に対しても、健康サポート薬局を目指す上では、一般薬の取り扱いを必要条件として促しているということでもある。
一方、ここ10年ほどの間に、生活者の一般薬購入場所の主流はドラッグストアにシフトしてきた。大型店舗にヘルス&ビューティに特化した豊富な品揃えと、個人薬局では太刀打ちできない販売価格で提供されている現状がある。
さらに、ドラッグストアへ対応する一般薬取り扱い卸も物流効率化の中でコストダウンを進めてきた。既に、一定の売上規模のない個人薬局への供給対応自体が難しい状況にあり、現場では一般薬の健康サポート薬局対応について頭を悩ませているとも聞く。
やはり、ドラッグストアでの一般薬の購入が定着した流れを、街の薬局に引き戻す、あるいは、健康相談のために訪れる場所として定着させるのは並大抵なことではないはずだ。健康サポート薬局の基準をクリアしただけでは、生活者が自身の健康維持・増進に向けて、街の薬局を目指すという行動変容にすぐには直結しないだろう。
繰り返しになるが、健康サポート薬局は、基本的にかかりつけ薬剤師・薬局としての基本機能と積極的な健康サポート機能を合わせることが、その要件である。10月以降の届け出が始まって以降も、一般生活者にとって薬局の見方がすぐに変わるわけではない。地域医療の中での貢献はもちろん、生活者が日々薬局という場所を活用したくなるような仕掛けも必要になるだろう。
今後、「健康サポート」を掲げる薬局が、生活者から支持されるような機能を発揮していくことを期待したい。