アプリが患者の病気を治す――。そんな医療の実現を目指すスタートアップがキュア・アップだ。2014年7月に設立し、昨年冬には慶応義塾大学との共同でニコチン依存症患者を対象とした治療用プログラム医療機器の多施設臨床試験を開始し、今年10月からは東京大学主導のもと、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療アプリケーションを検討する臨床研究がスタートする。患者がスマートフォンから日々の健康情報など入力したデータをもとに、アプリを通じて個別化された行動療法や認知行動療法などの医学的ガイダンスを発信し、患者の意識や行動を変え、疾病の改善へとつなげるというもの。薬剤や医療機器では治せない疾患を“治療アプリ”で治し、医療費削減や医療の効率化を実現させ、新市場開拓を目指す。
14年11月に行われた旧薬事法の改正により、病気の治療や診断の補助を目的としたソフトウェアが医療機器としての規制の対象となった。こうした中、注目されているのが医療アプリ。国内では健常者を対象とした未病・予防関連のアプリが多く利用されているが、キュア・アップが開発を進めているのは、患者に医師が処方する“治療アプリ”で一線を画す。治療アプリ分野では、日本で最初に臨床試験を行い、現在、複数の疾患で臨床試験を進める国内で最も先行しているスタートアップだ。
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