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昨年の世相、今年の決意‐製薬各社社長に聞く「漢字・英単語で表すなら…」 2017年

2017年01月05日 (木)

小野薬品社長 相良暁氏

相良暁氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    2016年は事業分野の「選択と集中」が進んだ1年だったかと思います。
    ※各社の研究開発における疾患領域の絞り込みや長期収載品分野の切り離しなど。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    2016年は当社が大きく成長した年であるとともに、オプジーボのCheckMate-026試験の失敗や薬価改定議論など想定外の出来事が起こった「激動」の1年でした。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    創業300年を迎え、新たな道を開いていく1年にしていきたい。

日本新薬社長 前川重信氏

前川重信氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    Strict(厳しい)

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    新薬開発メーカーにとって厳しい年。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    Challenge(挑戦)

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    厳しい環境下での挑戦。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

    Proceed(進む)

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    逆風下、一歩でも前進。

MeijiSeikaファルマ社長 小林大吉郎氏

小林大吉郎氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    崩 崩れる

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    オプジーボ50%カット、毎年改定など政府主導の改革が推進され、今まで積み上げてきた薬価算定ルールや市場実勢価格主義という薬価制度の基盤が崩壊した。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    未 未だ

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    薬価改定の影響により成長戦略の道筋、未だ道半ば。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

    達 達成、成し遂げる

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    崩れた制度、不透明な先行きの中で、当社は、製薬企業の原点である創薬力の強化や、昨年上市したシクレスト、ビラノアの拡大、メドライク社の日本向けGEビジネス参入などを成し遂げ、中期経営計画「STEP UP17」最終年度目標を達成する年としたい。

アステラス製薬社長 畑中好彦氏

畑中好彦氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    革新的な医薬品で患者さんへ貢献ができたと考えるため。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    新薬ビジネスを取り巻く環境変化の中で柔軟に対応し、戦略を確実に実行できたと考えるため。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    私たちは常に未完成であり、変わり続けることで成長していきたいと考えているため。

キッセイ薬品社長 両角正樹氏

両角正樹氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    改(Change)

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    いろいろなものが改まった年だったと思います。
    EUではイギリス離脱決定、またオバマケアに反対するトランプ次期大統領当選、それに伴う為替の乱高下など、海外市場関係で意外性の高い1年でした。
    国内では4月の薬価改定に加え、高額な新薬の緊急的な薬価引き下げが決まり、薬価の頻回改定やバイオシミラー使用促進に関する議論など製薬業界の根幹にかかわるルールが変化した1年であったと思います。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    基(Base)

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    不足したところ、もっとやり切りたかったことはもちろんありますが、概ね売上高等の財務数字は目標を達成できています。事業環境が不透明になり、リスクが高まる中で、将来の成長に向けた基盤を作る年でした。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

    Quality

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    2017年は、事業の質を高めたいと考えています。
    研究開発の質を上げて、上市の可能性を高めること。また、メディカルアフェアーズ・地域連携など、顧客と時代のニーズを踏まえてプロモーションの質を上げること。会社全体としても、社員一人ひとりの質を上げることで、生産性・成長性を向上させたいです。

ベーリンガーインゲルハイム・ジャパン社長 トーステン・ポール氏

トーステン・ポール氏
  1. 2016年の製薬業界を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    Change

  2. 上記回答の理由を教えて下さい。

    2016年は、日本の医療制度において目に見えて大きな変革が訪れ始めた年だったと感じております。

  3. 2016年の御社事業を漢字1字、もしくは英単語1語で表すとしたら、どんな言葉になりますか。

    Innovation

  4. 上記回答の理由を教えて下さい。

    医療制度における変革の中にあって、弊社は、そうした様々な変革に対し迅速に対応を進めると同時に、将来を見据えて患者さんや医療従事者の方々に新しい価値をご提供できるよう、常によい良いものを目指してイノベーションへのチャレンジを続けております。

  5. 2017年をどんな1年にしたいか、漢字1字もしくは英単語1語でお書き下さい。

    AAI

  6. その言葉にした理由を簡単に教えて下さい。

    AAIとは、A:遂行責任(Accountability)、A:俊敏性(Agility)、I:企業内起業家精神(Intra+Entrepreneurshipの造語)のことです。現在のように先行きの予測が難しい、変化し続ける環境の中では、「将来」は現在のやり方の延長線上に無いことは明らかです。だからこそ、意識してAAIのマインドセットを持ち日々の行動を変え、革新的なアイデアを生み出していくことが、患者さんや医療関係者の方々に価値を提供し続けられる唯一の方法だと考えています。

17年度は「飛躍」「前進」…-製薬各社が選んだ漢字

 2016年の製薬業界は、変化に迫られた年といえそうだ。まずは特例拡大再算定が導入された4月の薬価改定、そして抗癌剤「オプジーボ」に代表される高額薬剤の問題、薬価の頻回改定の議論と製薬企業のビジネスモデルを揺るがすような出来事が相次いで起こった。

 こうした中で各社が見た16年度の業界は、「改」(change)に関連した漢字が代表的だった。「厳」「崩」のように、厳しい事業環境を想起させる声も挙がったほか、今後業界が対応していく道として「難」「急」「断」を選んだ会社も。小野薬品の相良暁社長は、「製薬企業の選択と集中が進んだ1年」とし、“選”と回答した。

 一方、武田薬品は「innovation」と答え、革新的な新薬が生まれていることに着目し、「献」「Sign」などの前向きな言葉も見られた。

 各社にとっての1年はどうだったか。業界の世相を表す漢字・英単語に比べると、前向きさが漂った。「柔、柔軟に対応できた1年」(アステラス製薬・畑中好彦社長)、「growth、グローバル新製品の順調な伸長に加え、武田テバの設立や研究開発体制の変革など持続的な成長を加速」(武田薬品:クリストフ・ウェバー社長)、「起、中期経営計画スタートの年、必要な変化に向けた施策を取り組み中」(田辺三菱製薬・三津家正之社長)、「challenge、厳しい環境下での挑戦」(日本新薬・前川重信社長)と、手応えや事業の転換、新たな方向性を模索した1年であったようだった。

 そして2017年を迎えた。日本イーライリリーは会社として“Determination”と回答。キッセイ薬品の両角正樹社長は、「Quality」。事業の質を高めたいとした。ベーリンガーインゲルハイムジャパンのトーステン・ポール社長は、「AAI」という造語を選んだ。遂行責任、俊敏性、企業内企業家精神の三つを両立するという意味だ。

 大日本住友製薬の多田正世社長は、「バランス」(衡)と回答し、国内海外事業のバランス、攻めと守りのバランスを重視する方針。Meiji Seika ファルマの小林大吉郎社長は、「達」を挙げる。崩れた制度、不透明な先行きの中で中計最終年度での目標達成を誓った。

 日本から世界へ。協和発酵キリンの花井陳雄社長は、グローバル戦略3品目が進展し、飛躍に向けて離陸する「Taking-Off」という道筋を書いた。中外製薬の小坂達朗社長は「Springboard」。収益源としての国内売上、成長源としての自社創製品の海外展開の基盤強化の年に位置づける。

 ジェネリック医薬品メーカーでは、東和薬品の吉田逸郎社長が、業界の急激な変化に対応し、将来に向けて躍進の年にするため、「躍」を挙げた。各社トップが選んだ漢字や英単語はそれぞれ異なるものの、新たな年への意欲が強く滲んでいた。


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2017年1月1日特集号‐新春随想‐に掲載された記事です。


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