大幸薬品は、主力の胃腸薬「正露丸」の丸剤、糖衣錠に次ぐ新タイプとなる液体カプセルの「正露丸クイックC」(第2類医薬品)を、4月3日に新発売する。正露丸シリーズでは、1966年に発売した糖衣錠(現在の「セイロガン糖衣A」)以来、実に51年ぶりであり、液体カプセルの正露丸として日本で唯一の製品。主成分の木(もく)クレオソートが液体カプセルからすばやく溶け出して胃で吸収され、急な下痢などのお腹のトラブルに優れた効果を発揮する。
現在、世界各国で販売されている「正露丸」は、国内では止瀉薬の市場に属している。一方で、近年の止瀉薬市場は、大型の新製品投入もなく、ダウントレンドが続いている。
同社では年代別に、下痢のなりやすさや止瀉薬経験者および未経験者の割合などを調査した結果、若年層ほど下痢になりやすいながらも、止瀉薬未経験者が多かったという。同調査では、「若年層こそが今後の止瀉薬市場活性化の鍵になる」ことが示されると共に、消費者が止瀉薬を購入する際に最も重視する点としては「即効性」がトップで、次いで「安心・安全」が続いた。
新製品の「正露丸クイックC」は、こうした点を踏まえ、「速効性」「安心・安全」という消費者が求める二つのニーズに応えるため、「正露丸」の主成分である木クレオソートをすばやく溶ける液体カプセルに閉じ込めた。すばやい崩壊性が同品の最大の特徴で、服用して1分後にはカプセルが徐々に溶け始め、4分後には中身の木クレオソートが放出される。6分後には全てのカプセルが溶解される。
木クレオソートは生薬であり、ブナやマツなどの原木を乾留して得られる木タールを精製した液体。同社では基礎研究によりその薬効を検証し、「腸管内の水分を調整する」「腸の動きを止めず大腸のぜん動運動を正常に戻す」「通常の服用量では腸内のお腹を守る菌を殺さない」などの作用メカニズムを突き止め、数々の論文発表も行っている。止瀉薬はいくつかのタイプに分類されるが、木クレオソートは“腸管運動調整タイプ”になり、腸の動きを止めないため、細菌やウイルスなどによる下痢にも使用できる。
同社では、「正露丸」特有のニオイを抑え、カプセルで製剤を安定化させるなど、木クレオソートをカプセルにする技術に長い年月を費やした。カプセルにこだわった理由としては、「液体カプセルに対して消費者は、特に効き目が早い、飲みやすいという印象が高い。そのため、ぜひ正露丸ブランドから市場にはない次世代に向けたカプセル剤を出したかった」とする。
パッケージデザイン面でも、ネーミングには「早く治してほしい」という思いを込めたという。また、ターゲットが手に取りやすいよう、正露丸ブランドとして初めて英字ロゴを採用。パッケージ前面は、スピード線ですばやく溶ける製剤特徴を表現した。
今後のプロモーションは、5月より新CMを全国放映し、併せてウェブサイトやSNS等を通じて、製品情報を発信し、より多くの消費者に手に取ってもらえるよう告知活動を展開するなど、止瀉薬の未経験者が特に多い若年層に使用機会の浸透を図っていく計画。
容量は16カプセル入りで、税別希望小売価格1000円。初年度は、「正露丸クイックC」を含めた正露丸ブランド全体で、止瀉薬市場50%のシェア回復を目指すという。
新製品発表会で、柴田高社長は「正露丸クイックCの特性を理解すれば、“御守り”として活躍してもらえると思う。体調が悪い時にお持ちいただければ、不安を解消できるなど、生活の質を上げる大きなアイテムになる」と強調した。