北海道大学大学院薬学研究院創薬科学研究教育センターの前仲勝美センター長は、本紙のインタビューに応じ、アカデミア発創薬のあり方について、企業が行う最適化研究を追随するのではなく、大学が強みとする基礎研究力を生かした形での方向性を強調した。現在、標的蛋白質の構造解析に注力しており、小さな化合物から出発し、リード化合物に進展させる創薬手法「フラグメントベースドドラッグデザイン」(FBDD)を取り入れた。今後は、英オックスフォード大学と提携し、最近注目されているクライオ電子顕微鏡を用いた創薬標的の探索にも乗り出す。前仲氏は、「大学が苦手とするヒット化合物からリード化合物への合成展開は製薬企業に任せ、標的蛋白質の新たなメカニズム探索に集中するべき」と産学の役割分担が重要と訴える。
同センターでは、文部科学省の「最先端研究基盤事業化合物ライブラリー拠点」における全国6拠点の一つとして、日本発の創薬を目指しており、短期間で化合物ライブラリーからスクリーニングできる体制を整備した。ただ、前仲氏は、「ヒット化合物からリード化合物の最適化、その後の薬物動態試験と創薬を進めてきたが、後期段階の動物を用いた毒性評価までいくと、資金的な壁にぶつかってしまう」とアカデミア創薬の限界点を指摘する。
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