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【2017年回顧と展望】セルフメディケーション浸透目指し積極活動‐OTC薬協顧問

2017年12月26日 (火)

日本OTC医薬品協会顧問 西沢元仁

西沢元仁氏

 2017年は、セルフメディケーション税制施行で年が明けた。

 この制度は、数十年ぶりの新たな政策税制であるが、薬業関係団体にとどまらず、健康保険組合や労働組合、税務関係諸団体のご協力もいただき、生活者の認知率も夏の調査では70%を超える勢いとなっている。今後、18年の確定申告における制度利用を円滑に進めるべく啓発を強化すると共に、利用者に要求されている健康診断等の負担や、全てのOTC医薬品が対象となっていない等の課題の解決に向け、引き続き取り組みを進めていくことが期待される。

 春には、指定医薬部外品(ビタミン含有保健剤)の承認基準一部改正が行われ、これまでの一律な効能標榜から、製品の特性に応じたよりきめの細かい標榜が可能となり、予防をうたうことも可能となったが、生活者の自主的な選択を支援する方向に変わってきていることが背景にある。これを嚆矢として、今後とも、生活者のニーズに合った商品提供が進められることを願っている。

 スイッチ新スキームに基づく「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」が開催され、多数寄せられた候補品目のうちからまず5品目(ヒアルロン酸ナトリウム、レバミピド、レボノルゲストレル、メロキシカム、及びフルチカゾンプロピオン酸エステル)の審議が進められ1品目(レボノルゲストレル)については、パブリック・コメントを行い多数の希望が寄せられたが、スイッチ尚早とした。

 11月に開かれた第3回評価検討会では、新たな品目(リザトリプタン等5成分、クリンダマイシンリン酸エステル、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル、及びヨウ素・ポリビニルアルコール)について初回検討が行われたが、今後パブリック・コメントを通じ、再度の審議が進むこととされている。

 さらに、候補成分の募集は続いており、海外で広く利用されているPPI等も控えており、前向きな評価が進み、生活者の選択の多様化と、安全性の向上を図ることが進むことを願っている。また、体外検査薬のOTC化においても、排卵日予測検査薬については市場に登場するに至ったが、便潜血ならびに尿潜血検査薬については、その登場が当初の期待よりも遅れている。

 その他にも、様々な体外検査薬がOTC化に向けて検討されており、速やかな検討の進展と市場への登場を願っている。

 規制改革推進会議での論議に基づき、数十年来見直しが行われていなかった医薬品等広告適正基準に関し、生活者に対する情報提供を活発にするよう見直しが行われることとなった。

 そもそも一般用医薬品等は、医薬関係者の提供する情報に基づき、広告の自由度を拡大する観点から生活者が自ら選択し、使用することを旨とするものである。生活者の選択を支援する上で、当該商品の存在の認知を促す広告の役割は、製品の法定表示や、添付文書等と共に、極めて重要なものである。今日の多様な情報伝達チャネル登場に対応した取り組みが今後ますます重要となろう。

 今後、年末の広告研修会や、行政庁との意見交換の場である六者協を経て、新年には改訂されたガイドラインの公開が期待されている。

 10月には、世界セルフメディケーション協会(WSMI)の世界総会が、豪州で初めて開催された。この総会での基本テーマは、Economics of Self-Careであり、セルフケア・セルフメディケーションが医療経済に及ぼす影響を、様々な事例を通じて明らかにし、将来に向けた発展を目指すものであった。その一環として、日本における税制改正をはじめとしたセルフメディケーション振興の取り組みが紹介された。

 また、この世界総会に合わせ、豪州医薬品庁(TGA)の呼びかけにより、アジア太平洋地域を中心にした医薬品規制当局の専門家による円卓会議が開かれ、日本からも出席があり、来年3月に台北で開かれる第4回Self-CARER(アジア諸国OTC医薬品規制当局者円卓会議)への参加呼びかけを含めた、地域の交流の活性化に向けた意見交換がなされた。

 おりしも、薬事規制サミットとICMRAという大きな会合が京都を舞台に開催され、両会合の統合に向けた確認に至るなど、進展があった。

 このような様々な取り組みを背景として、18年においては、セルフメディケーション税制を含めた様々なツールの活用を惹起すべく、セルフメディケーション週間を開催することが企画されている。薬業界よりも、広く国民が自らの健康に関心を持ち、適正な医薬品使用を進めるべく、取り組みを進めることとしたい。

 世界の高齢化社会の到来において、その先駆けとなっている日本がその経験と知識を生かし、未来へ向かう導き手となれるよう、セルフメディケーションの活用を様々に進めるべく、引き続き努力を重ねてまいりたい。



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