関連検索: アステラス製薬 精神疾患 G蛋白共役型受容体 米国科学アカデミー紀要
アステラス製薬と米国国立精神衛生研究所(NIMH)の研究グループは、精神疾患の発症に関与するG蛋白共役型受容体「SREB2」を発見した。SREB2を標的とする創薬が、新しい作用機序を持つ精神疾患の治療薬につながる可能性がある。7日付の米国科学アカデミー紀要に発表された。
G蛋白共役型受容体(GPCR)は細胞膜上に存在する膜蛋白質。有望な創薬標的として、種々のGPCRの機能解明に向け、激しい競争が繰り広げられている。今回発見されたSREB2は、アミノ酸配列がヒトで100%保存されている新しいGPCRで、これまでの研究から記憶学習機能に重要な役割を果たす海馬等で、高く発現していることが明らかになった。
そこで、SREB2を過剰発現させた遺伝子改変マウスを用いた実験を行った結果、脳重量の低下、脳室の拡大といった脳の形態異常が見られると共に、社会性行動の低下、情報処理機能や認知機能の低下など、統合失調症などの精神疾患に関連する異常が観察された。一方、SREB2が発現していない遺伝子欠損マウスでは、脳重量が増加し、記憶機能が向上することが分かった。
さらに、NIMHが保有する統合失調症患者のDNAサンプルを用いて遺伝学的な解析を行ったところ、SREB2が統合失調症の疾患感受性遺伝子であることが明らかになった。
今回の成果を受けて研究グループは、SREB2を標的とする薬剤が、新たな作用機序を持つ精神疾患治療薬になる可能性を見出したとしている。現在、SREB2に結合するリガンドの探索が進められている模様で、SREB2のアゴニスト、アンタゴニストなど、様々な創薬の可能性が試みられている段階という。また研究グループでは、新たに発見されたSREB2の機能解明も、並行して進めていく予定にしている。
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