ヤマサ醤油は、低分子核酸医薬品の原料供給事業を拡大し、年内に核酸の「オリゴヌクレオチド」の合成に必要な「アミダイト」と、原薬となる「オリゴマー」の供給事業を開始する。醤油メーカー大手であることに加え、東北大学病院内科・総合感染症科の児玉栄一助教(当時)らの研究グループとの共同研究で見出した抗HIV薬「EfdA」を米メルクに導出にするなど、医薬事業にも注力するヤマサだが、今後は核酸の原料事業に投資を集中させる方針だ。2020年には千葉県銚子市の原薬工場内に製造棟を新設し、アミダイトの大量生産にも対応していく。医薬・化成品事業部長の野口利忠常務は、本紙のインタビューに応じ、「製薬各社が開発している中分子核酸医薬品も視野に入れながら、われわれも遅れることなく原薬事業を手がけていく」と意欲を示した。
ヤマサ醤油の医薬事業は、複合調味料の開発の過程で抗ウイルス薬の製造で用いる4種類のヌクレオチドの活用法を見出し、1970年代から加工したものを医薬品原料として展開したことから始まった。低分子核酸を中心に、抗ウイルス薬や抗癌剤などに用いられる新規の原薬の開発を手がけてきた。また、児玉氏らの研究グループとの共同研究では、ヤマサの核酸合成のノウハウを活用し、新たな遺伝子変異による耐性の発現が少ないことが見込まれる「EfdA」を見出し、米メルクに導出。現在は新規の抗HIV薬「MK-8591」としてメルクが第II相試験を実施している。
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