健康食品領域でP05認証取得

左から鎌尾氏、北河氏、岩川氏、杉浦氏
神戸薬科大学は、昨年12月15日に薬剤師認定制度認証機構(CPC)から特定領域認定制度として「健康食品領域研修認定薬剤師制度」(P05)の認証を取得した。同制度は、健康食品やサプリメントの科学的根拠に基づいた的確な助言・情報提供を行い、地域住民の健康サポートにより深く貢献できる薬剤師の育成を目的としたもの。国が推進する「健康サポート薬局」への寄与も期待されている。
神戸薬科大学では、早くから積極的な生涯研修支援を実施し、既存の薬剤師のスキルアップに尽力してきた。
その実績が高く評価され、2007年6月には、CPCから西日本の薬科大学で初めて「生涯研修プロバイダー」として認証(G07)を取得した。これに伴い開設された神戸薬科大学エクステンションセンターは、昨年9月、10周年を迎えた。GとPの両方の認証を受けたプロバイダーは、神戸薬科大学が初となる。
P05の認証取得について北河修治学長は、「健康食品は、エビデンスがないものが多い」と指摘し、「地域住民の健康サポートを目的とした的確な助言・情報提供を行うためには、薬剤師がその製品についてどの程度エビデンスがあるかしっかりと認識しておく必要がある」と訴えかける。
その上で、「健康食品関連の学会、研究会および隣接する甲南女子大学に本年4月新設された医療栄養学部と連携しながら、エビデンスが十分でない健康食品を科学的見地に基づいて説明できる薬剤師を育成していきたい」と抱負を述べる。
また、承認取得に関連して、地域サテライトセンターで市民対象に開催されている健康サポートセミナー(年11回)の中で、「健康食品」をテーマとした講演会も実施される。
認定証を取得するには、同大学エクステンションセンターが開催する健康食品講座のうち、「健康食品領域研修項目」の大項目I(健康食品と薬剤師)から3単位以上、大項目II(健康食品と食生活・健康管理)から27単位以上、大項目III(健康食品の購入・利用時の助言指導)より3単位以上を含む計40単位以上を4年以内で修得した後、論文審査に合格する必要がある。
健康食品領域研修事業委員長の岩川精吾氏(学長補佐)は、「P05認定証取得のハードルは少し高いが、たくさんの人に挑戦してほしい」と呼びかける。
鎌尾まや氏(エクステンションセンター講師)は、同大学が独自に認定してきた旧制度の「健康食品指導薬剤師」について、「19年度までは更新者のみ継続するが、その後は廃止し、P05に統合する予定である」と明言。
さらに、「旧制度の認定者は、大項目Iおよび大項目IIIの所定の単位を取得し、論文試験に合格すれば新制度に移行できる」と説明する。
一方、杉浦佳子氏(エクステンションセンター課長補佐)は、G07について、「今年度の卒後研修講座は、昨年度に引き続き“薬剤師に必要な8疾患(その2)”として糖尿病、精神・神経疾患、がんを取り上げた」と話す。
また、リカレントセミナーの見直しに言及した北河氏は、「大学で学んだ薬物動態・薬理を臨床現場での課題解決に役立てるため、薬学教育の再教育となる講義を盛り込む」考えを示す。
若手薬剤師育成では、昨年スタートした「症例検討会の活用」を挙げる。同検討会は、スモールグループディスカッション形式で、実際に経験した症例について議論すると共に、薬物代謝、吸収、組織移行を構造式から読み解いたりもする。将来的には、「同検討会からの学位取得者出現を期待している」(北河氏)
昨年9月にオープンした「地域連携サテライトセンター」の生涯研修への貢献も見逃せない。
同センターは「科学的根拠に裏付けされた健康サポート活動」を実践するための「健康サポートセミナー(健康度測定も実施)」や「地域健康サポート・カフェ」「サイエンス・スクール(小中校生向け)」「薬科大学と臨床現場を繋ぐセミナー」を開催している。地域密着型の薬科大学として、一般市民と薬剤師や学生が健康のための交流活動を展開することで、地域の中での医療人材の育成や地域の健康、医療に関する課題を捉えた研究の展開を目指している。
神戸薬科大学エクステンションセンター
http://www.kobepharma-u.ac.jp/