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【薬局業務の効率化と質的向上を目指して】あすか薬局新町店(ヘルスネット)

2018年7月30日 (月)

耳が遠い患者と円滑に会話‐骨伝導式イヤホン、服薬指導に

地域のかかりつけ薬局として認知されているあすか薬局新町店

地域のかかりつけ薬局として認知されているあすか薬局新町店

 あすか薬局新町店(大東市)は今年5月から、耳が遠い患者との会話を補助する骨伝導式イヤホン「earsopen」の活用を開始した。マイクが内蔵された本体を患者の首にかけてもらい、骨を振動させて音声を伝える機器を耳の下部に装着。患者には、薬剤師の声が大きく増幅されて聞こえる。大声を張り上げて服薬指導する必要がなくなり、患者との意志疎通も円滑になった。その結果、薬を服用していなかったことが初めて判明するなど、薬物療法の適正化にも役立っている。

 JR住道駅から徒歩約5分。公営住宅やマンションが周囲を取り巻く商店街の一角に同店は位置する。カメイグループの一員として関西に7薬局を展開するエムシーエスが開設した薬局だ。約4年前、近隣の医療モールから現地に移転した。1日に60枚前後応需する処方箋のうち、隣接する循環器科診療所の処方箋は約半分。残りは、医療モールに入る診療所や基幹病院の処方箋だ。常時薬剤師2~3人体制で対応している。

同店のスタッフ(中央が内田氏)。カウンター外側に紙を貼って試聴を呼びかけている

同店のスタッフ(中央が内田氏)。カウンター外側に紙を貼って試聴を呼びかけている

 移転前から数えると、この地域で17年間薬局業務を続けてきた。顔なじみの患者が多く、地域のかかりつけ薬局として認知されている。最期まで患者に関わり続けたいとして近年は、地域の多職種連携の集まりに積極的に顔を出し、在宅医療にも力を入れ始めた。

 患者とのつながりを強く意識している同店がearsopenを活用し始めたのは今年5月から。カウンター内のOTCコーナー横に同品を設置。「お薬の説明が聞き取りづらい方」「骨伝導の集音器視聴できます」と記載した紙をカウンター外側などに貼って周知している。それを見た患者から「使ってみたい」と要望があったり、聞こえにくそうな患者には薬剤師が声をかけたりし、服薬指導時に活用している。

 来局患者の過半数は70歳以上の高齢者。耳の遠い患者は少なくない。使用開始1カ月間で5人の患者の服薬指導に活用した。希望する患者には貸し出し、自宅でも試用してもらっている。求めに応じて販売することも可能だ。

患者から初めて聞く情報も

患者に装着してもらい、服薬指導時に活用している

患者に装着してもらい、服薬指導時に活用している

 同店管理薬剤師の内田有紀氏は、earsopenの活用によって「薬剤師から薬の情報を伝えやすくなっただけでなく、円滑に会話できるようになり、患者さんの思いや服薬状況もよく分かるようになった」と語る。

 earsopenは、鼓膜を使わず直接骨に振動を伝える、高感度で超小型の骨伝導式イヤホン。左右のマイクを搭載した本体部分を首にかけた上で、イヤホン部分を耳の穴の下端にひっかけ、耳たぶを挟み込むようにして装着する。マイクが集めた外部の音を増幅し、鼓膜ではなく骨を振動させて音を伝えるため、耳が遠い人とのコミュニケーションにも有用だ。

 内田氏は「服薬指導時に大声を張り上げなくて済むので楽になった。大きな声では細かいことは伝えづらい。以前は、大きな声で話をしても、患者さんが途中で聴き取ることをあきらめる場合があったが、それもなくなった。普通の大きさの声で話しても聴き取ってもらえる。個人情報の漏洩も防止できる」と実感を語る。

 患者からの情報収集が充実することも利点だ。「スムーズに会話できるようになった結果、実は薬を飲んでいなかったなど初めて聞く情報もあり、驚くことがあった」と振り返る。

 ある患者では、頻尿の症状に過活動膀胱治療薬が処方されていたが、earsopenを活用してよく話を聞いてみると、実際は服用してないことが分かった。診療所の医師も患者と十分に意志疎通を図れないため、診察時には心不全など主疾患の治療に目を向けるのが精いっぱいで、他の薬の整理はできていなかった。内田氏は服薬状況を医師に伝達。同剤は中止された。

 ほかにも、「医師の話が聞こえてなくても、適当にうなずいたりしているために、飲んでいない薬が処方され続けている患者さんがいた」。患者は、何のためにその薬が処方されているのか、よく分かっていなかったという。

 「耳が遠い人は、適当にあいづちをうつことに慣れているため、その存在を把握しづらいが、潜在的にはけっこういると思う。これからも服薬指導時にearsopenを使って情報提供と情報収集を充実させたい」と内田氏。今後は在宅医療現場にも持参する計画だ。

 earsopenは、耳をふさがずに音楽を聴く新たなスタイルを意識して開発されたものだが、幅広い分野での活用が始まっている。医療や介護分野もその一つ。病院や高齢者施設に加え、関心を示す薬局も全国に増えつつある。現在、ノルデン薬局(北海道)、瑠璃光薬局(石川県)、ハザマ薬局(大阪府)、中川調剤薬局(兵庫県)、マスカット薬局(岡山県)、山形薬局(長崎県)などの薬局が同品を店頭に置き、耳が遠い患者とのコミュニケーションに役立てている。

 販売先のヘルスネットは、聴覚障害が認知症のリスク因子の一つと指摘されていることから将来は、earsopenの活用と認知症予防の相関を検証する薬局主体の臨床研究を実施したい考え。現在その準備を進めている。

あすか薬局新町店(ヘルスネット)
https://www.health-net.co.jp/




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