薬歴を音声で入力‐業務負担を軽減

清水薬局多摩平ファーマシー
清水薬局多摩平ファーマシー(東京都日野市)は、患者の要望に応じた健康器具・医療用品の販売や在宅医療などに注力することで、地域住民に寄り添う薬局づくりを進めている。店舗周辺のクリニック増加に伴いスタッフの忙しさも増しているが、今年1月から導入した自動音声認識・電子薬歴一体型レセプトコンピューター「ENIFvoice Core(エニフボイス コア)」で薬歴作成にかける時間を短縮させ、業務負担を軽減している。
地域に寄り添う薬局目指す‐在宅や住民との交流に取り組む
清水薬局多摩平ファーマシーは2009年8月に開設した薬局で、薬局長の滝澤秀一氏を含めた薬剤師8人が勤務している。1日あたりの平均処方箋枚数は約140枚で、近隣の眼科・内科・外科・耳鼻咽喉科を中心に、最寄り駅である豊田駅周辺のクリニックの患者が多数を占める。
地域住民に寄り添う薬局の構築を目指しており、患者一人ひとりのニーズを聞き取った上で、可能な限り要望に応えることを心掛けている。その一つとして、糖尿病患者向けの血糖値測定器やシリコン製の耳栓などを取り寄せ、販売している。

薬局長の滝澤氏
日野市の人口はファミリー層を中心に増加傾向にあり、複数のメーカーが生産拠点を置いていることなどから、幅広い年齢層の患者が訪れる。ただ、高齢者がボリュームゾーンとなっているため、在宅にも力を入れている。滝澤氏とスタッフ2人をメインに、自宅や高齢者施設を訪問し、認知症や循環器病などの患者計8人の服薬状況の確認などを行っている。
隣接する八王子市にキャンパスを構える東京薬科大学の学生を実習生として毎年受け入れており、学校薬剤師のスタッフが担当する学校まで同行させ、教育現場における薬剤師の業務を教えている。
夏季は、高齢者の熱中症予防を目的に店舗を休憩スペースとして開放する「クールスポット」という日野市の取り組みにも参加し、住民との交流に積極的に関わっている。
スタッフ一人ひとりの業務量も増加傾向にあるが、グループ会社の東邦薬品が開発したENIFvoice Coreを導入後、薬歴作成にかかる時間を大幅に短縮し、結果的に業務負担の軽減に成功している。
医療用語を円滑に変換‐処方履歴も簡単に検索可能

ENIFvoice Coreで薬歴作成の時間を短縮した
「ENIFvoice Core」は、一昨年から東邦薬品が販売している自動音声認識・電子薬歴一体型システム「ENIFvoice SP+A(エニフボイス エスピープラスエー)」にレセコンを搭載したもの。ENIFvoice SP+Aは、患者からの聞き取りと同時に音声で情報を入力できるので、マウスとキーボードよりも迅速な薬歴作成が可能となり、聞き取り後に薬歴を記載する時間も大幅に短縮できる。薬剤師が使用する医療用語などが登録された音声辞書を内蔵しており、薬品名や疾患名などが円滑に変換できるため、薬歴作成にかかる時間を手書きの約4分の1に短縮した。
多摩平ファーマシーでは、以前に使用していたレセコンの契約終了をきっかけに1月からENIFvoice Coreを導入。滝澤氏は「キーボードをほとんど使用しないので、指が疲れず楽になりました。処方履歴を簡単に探せる機能もあるので、誰がどの薬を服用しているのか探しやすいです」と、使用感を語る。
ENIFvoice Coreと連携して薬の在庫管理ができる「ENIF本部」により、調剤された薬剤の品目・数量・日時などをすぐに把握できるので、この点も楽になったという。
さらに、患者や薬歴に関するデータを保存・共有できるクラウドも搭載。患者からの問い合せに迅速に対応できるだけでなく、データ紛失の恐れもないため、災害などの緊急事態が発生しても迅速なデータ復旧が可能となる。
東邦薬品では、これまでに120軒ほどの薬局でENIFvoice Coreを導入しており、今後は現場の意見を収集した上で、音声辞書に在宅で頻出の用語を増やすほか、まだキーボードで入力している部分を少しずつ音声入力に対応できるようにするとしている。
滝澤氏は「薬歴作成の時間が減ったことで、スタッフ全員が早く帰宅できるようになりました。今後も働きやすい環境づくりを考えていきたいです」と語った。
清水薬局多摩平ファーマシー(東邦薬品)
https://www.tohoyk.co.jp/ja/products/voicecore/