光化学反応を用いた癌の光免疫療法に注目が集まっている。北海道大学大学院薬学研究院の小川美香子教授と米国国立がん研究所の小林久隆主任研究員らの研究グループは、光免疫療法が癌細胞を殺傷するメカニズムを突き止めた。近赤外光が狙った癌細胞上にある“デス・スイッチ”をオンにし、正常細胞への毒性を発揮せずに、選択的に癌細胞のみを攻撃することができるという。これまでの研究成果では、癌に奏効する結果が得られていても、どのように効果を示しているかが不明だった。小川氏は、本紙のインタビューに応じ、「2009年に光免疫療法の研究に着手し、足かけ10年をかけてメカニズムを解明することができた」と述べ、副作用が限りなく少ない癌治療法として実用化への期待感を示した。
研究には名古屋大学の佐藤和秀特任助教、島津製作所も加わり、11月に研究成果を発表した。水溶性のフタロシアニン誘導体「IR700」を結合させた抗体(抗体-IR700結合体)を薬剤として用いる。
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