大日本住友製薬の100%子会社「DSファーマバイオメディカル」は5月28日、新しい骨代謝マーカーであるTRAP‐5b(骨型酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ)の測定試薬「オステオリンクス『TRAP‐5b』」を新発売した。日東紡績と共同開発したもの。
TRAP‐5bは、骨代謝において骨吸収を行う破骨細胞から分泌される酵素。その血中濃度は破骨細胞数や活性を反映するため、骨吸収マーカーとして骨粗鬆症の診断に有用なことが確認されている。また代謝性骨疾患のほか、肺癌、乳癌、前立腺癌の骨転移に対する診断補助や治療経過観察時の補助的指標としても用いられる。
TRAP‐5bは、ヒトでは破骨細胞のみに由来するため、骨吸収の状態を特異的かつ正確に把握できる。特に骨粗鬆症に対する薬物治療効果の判定は、従来の骨吸収マーカーが約3カ月を要したのに比べ、1カ月で判定できる点が大きなメリット。
そのほか、[1]測定変動が非常に小さく、骨代謝の小さな変化を鋭敏に捉える[2]血中TRAP‐5bは日内変動が小さいため、検体を採取するタイミングの制限が少ない[3]血中TRAP‐5bは食事の影響を受けないため、空腹状態で採血する必要がない[4]腎機能低下による分解産物蓄積の影響を受けないため、腎機能低下症例や透析症例にも有用――などの特徴を有する。
なお、測定項目のTRAP‐5bは保険適用を現在申請中。価格は1キット7万9000円。発売3年後に4億円の売上を目指す。既存の骨代謝マーカー市場は約7億円。