IT技術を用いて医療やヘルスケアで新産業を生み出す「デジタルヘルス」に製薬企業の参入が相次いでいる。既存薬の価値向上や病態の解明、疾患管理、予防・未病への対応などの目的でデジタル技術が幅広く活用され、スタートアップ企業との提携も増えている。国内医薬品市場がマイナス成長になるとの厳しい市場予測も、デジタルヘルス領域への進出を後押ししているようだ。ただ、医療機器メーカーも人工知能やIoT、ロボットの業務自動化(RPA)を用いた医療機器開発を積極化させており、医療機器メーカーと製薬企業が協業・競合する境界線のない新たな市場が形成されつつある。
大塚が治療アプリに参入‐武田も未病ビジネス
大塚製薬は、医療用・コンシュマーヘルスケアを両輪で展開し、グループ会社には医療機器を手がける企業もあるなど事業の多角化を進める。そんな中、2016年に大塚が85%、日本IBMが15%出資する形で「大塚デジタルヘルス」を設立。大塚の中枢神経領域の専門性とIBMの人工知能技術「ワトソン」を組み合わせた、電子カルテのデータ解析ソリューション「MENTAT(メンタット)」を販売した。病院の精神科医療で、電子カルテの自由記載を言語解析しデータベース化することで、日常診療の質向上に生かしている。
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