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【医薬基盤研】バイオ薬から低分子薬へ‐人工核酸アプタマーを活用

2019年02月07日 (木)

国内製薬の創薬“突破口”に

 医薬基盤・健康・栄養研究所創薬デザイン研究センターの笠原勇矢氏らは、人工核酸アプタマーを用いて、バイオ医薬品を経口投与可能な低分子医薬品に改良する研究プロジェクトを開始した。バイオ医薬品の標的蛋白質に活性のある中分子の人工核酸アプタマーを見つけ出し、人工核酸アプタマーと標的蛋白質が結合した複合体から得られた活性情報をもとに、低分子医薬品を創製するプラットフォーム構築を目指す。世界売上上位を占める既存の抗体医薬品を低分子医薬品に代替し、低薬価で患者に届ける新技術にする。高騰する研究開発費の低減や経口投与による患者の利便性向上、身体的な負担軽減といったメリットが想定されており、バイオ医薬品開発に乗り遅れ、低分子創薬を得意とする国内製薬企業が利用できるプラットフォームにしたい考えだ。

 医薬品の創薬をめぐっては、癌などの難治性疾患にシフトする中、低分子医薬品で攻略できない標的分子に対して、抗体医薬などのバイオ医薬品による治療戦略が開発されるようになっている。しかし、バイオ医薬品では、抗PD-1抗体「オプジーボ」などの高額薬剤をめぐる議論が本格化しているように、国民医療費を増大させる医療経済上の問題や患者の服薬利便性、身体的負担から、バイオ医薬品の改良だけではなく、バイオ医薬品の生理機能を低分子化合物に変換する“リバース・パラダイムシフト”の技術開発に注目が集まっている。


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