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【日本学術会議】“医療崩壊”阻止で要望書

2008年07月02日 (水)

会見する桐野氏
会見する桐野氏

 日本学術会議は、“医療崩壊”を阻止するため、[1]医療費抑制政策の転換[2]医師不足対策[3]専門医制度の見直し””を柱とする要望書をまとめ、福田康夫首相、各省庁の大臣に提出した。特に医療費については、「現在の医療費水準では社会が必要とする医療を実現することができない」と訴え、対GDP比で先進諸国並みの医療費を確保することを求めた。これら対策を政府全体で実施するため「医療改革委員会」(仮称)を設置し、具体策を詰めることを提案した。

 医療費抑制政策については、医療費対GDP比で日本は8%と、米の15・3%、仏の11・7%など先進7カ国(G7)の中で最低で、OECD加盟国の平均9%をも下回る状況を挙げ、他の先進諸国と同等の水準まで上げることを求めた。

 医師不足対策では、医師として実際に勤務している「実働医師」の不足を補うことが必要だとし、地域における病院機能と医療資源を適切に集中・集約化し、医師のマンパワーを効率的に活用すべきだとした。

 その際は、病院と診療所の連携のもと、プライマリ・ケア担当の医師を調整役とし、個別の専門分野を担当する医師が機能分担して協力し合う体制を作ることを提案。また医師が行っている医療行為の一部を、看護師など、必要な知識と能力を持つ医師以外の専門職種に委譲することを、速やかに検討することも課題に挙げた。

 さらに日本の専門医制度について、運営が各学会に任されていることから、一定以上の質を持った専門医が、必要数養成できていないとの問題点を指摘。医師の質と量をコントロールする新たな仕組みとして、専門医制度認証委員会を組織し、各学会での専門医養成について統一した基準を設け、評価・管理していくことも求めた。

 これは、日本学術会議「医療のイノベーション検討委員会」が検討してきたもの。桐野高明委員長(国立国際医療センター総長)は6月27日、都内で会見し「医療費抑制政策によって、医師不足などの状況が深刻化している」と指摘。「医師は、医療費増加の要求をするばかりでなく、自ら医療のあり方について対策を提案していくべき」と判断し、要望したことを説明した。

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