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【2020年年頭所感】社会保障に貢献するOTCへ‐OTC薬協会長

2020年01月09日 (木)

日本OTC医薬品協会会長 佐藤誠一

佐藤誠一氏

 少子高齢化と人生100年時代を見据え、全世代が安心して暮らせる社会保障制度の構築に関わる検討を行うため、全世代型社会保障検討会議が開催され、様々な改革に関する議論が行われています。

 また、スイッチOTC化された医療用医薬品について、OTC医薬品との負担の公平性の観点から保険給付範囲からの除外や償還率の変更など、様々な考え方が提案されています。一部には、OTC類似薬を保険から外せば、セルフメディケーションが活性化されると考える向きもあります。

 しかし、軽度な疾患に使用されるOTC類似薬が自己負担となったとしても、患者さん自身の行動変容がなければ、そのままOTC医薬品にシフトするとは限りません。過去の事例では、患者さんの自己負担が増えても一時的に受診を控えるだけで、OTC医薬品を購入しようという行動を取ることはほとんどありませんでした。

 OTC類似薬を保険から外すことにより、「製薬企業が新規成分のOTC医薬品の発売を躊躇するなどの問題がある」との指摘もあり、新たなスイッチOTCの承認が進まなければ、薬剤費の削減に一定の効果があったとしても、それは一時的に終わってしまう懸念があります。給付と負担の議論だけでなく、国民がセルフケア・セルフメディケーションを実践するための後押しをすることが、全世代型社会保障制度の実現に寄与すると考えます。

 昨年6月に閣議決定された「骨太方針2019」では「一般用医薬品等の普及などによりセルフメディケーションを進めていく」ことが明記されました。日本OTC医薬品協会としてもこの方針に基づき、具体的な課題について実現を目指してまいります。

 17年1月にスタートしたセルフメディケーション税制は21年が5年間の時限立法の最終年になります。今年の税制改正要望が制度継続のための最後の機会になります。多くの国民に制度を利用していただくためには、個人へのインセンティブ強化として、控除対象品をスイッチOTCから全てのOTC医薬品に拡大することなど、制度の運用見直しも必要と考えています。

 当協会では、本年の最重要課題の一つとして、制度の継続に加え、控除対象品の拡大や下限額の引き下げを要望していきます。

 本年はいよいよ東京オリンピックが開催されます。多くの外国人が滞在し、日本のOTC医薬品を利用する機会も増えることが想定されます。当協会が取り組んできましたOTC医薬品の多言語情報を利用いただき、一人でも多くの外国人の方に日本のOTC医薬品を適正に活用していただくことを期待しております。



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