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コスト削減努力が表れる
日本医薬品卸業連合会は11日、2008年4月現在の「卸経営に関するアンケート」の集計速報をまとめた。それによると、回答69社の[1]売上高伸び率は3・87%(前年1・25%)[2]売上総利益率8・05%、販管費率6・93%で、営業利益率は1・13%[3]MS販売生産性、従業員・MS利益生産性はいずれも増加[4]在庫月数、債務月数は減少、売掛債権月数は横ばい――など、経営状況が明らかになった。特に、販管費率が初めて6%台を達成したことは、薬価制度、取引先との複雑な問題を抱えた中での適正な利益追求を目指している薬卸が、効率化、コスト削減に努力してきた結果を示すものといえる。
説明した経営管理委員会の枝廣弘巳委員長は、今後の薬卸の課題として、[1]医療用医薬品の流通改善に関する懇談会の「緊急提言」実現と、適正価格による適正利益の確保[2]さらなる販管費の削減努力[3]債権管理・リスク管理の強化――の3点を挙げ、「これらへの取り組みを進めて、安全・安心・安定的な医薬品流通機能を果たしていきたい」と述べた。
医薬品卸は、04年薬価改定での対応の反省に立って経済合理性による価格交渉で適正利益を目指したが、一方で納入価未妥結などが問題となった。枝廣氏は、緊急提言に記載された仕切価の早期提示、適正な仕切価水準設定、割戻し・アローアンスの整理・縮小と、経済合理性のある価格交渉、総価取引の改善(単品単価交渉、除外品目設定等)、長期未妥結・仮納入の改善という課題に対して、一つひとつ解決に向けて取り組む姿勢を示した。
販管費については、7%台になった03年調査から5年間で1ポイント圧縮したことになる。「会員各社の努力の賜物」と評価すると共に、さらなる削減を目指してロジスティクスの再構築、受発注の自動化、商物分離など営業とも一体となった取り組みが必要とした。
債務月数は低下しているが、保険償還の2カ月回収を目指してさらに努力する必要性を訴えると同時に、リスク管理でもスピーディーな対応が重要だと指摘。トレーサビリティ面ではIT化、バーコード化への対応が必要としたほか、返品、偽造薬への対応も卸経営に影響を与える問題だと指摘した。
今回の調査は、薬卸連の全構成会員115本社(前年125社)に対して実施され、回答数は69社(66社)、回答率60%(52・8%)だった。69社の事業所数は1568(前年1472)、従業員数3万8377人(3万6307人)、内勤:外勤比率は51・32:48・68、1事業所当たり従業員数24・5人となった。
69社の売上実績は、▽年間総売上高7兆9934億4300万円(7兆3652億9600万円)▽医薬品売上高7兆3154億8000万円(6兆7059億4000万円)▽医家向け売上高6兆7705億6300万円(6兆1327億5400万円)で、1社当たりの月商は96億5400万円(93億円)となった(注:前回調査とは本社数が異なるので単純比較できない)
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