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【日本学術会議分科会】医療系薬学・大学院教育で報告書

2008年8月13日 (水)

 日本学術会議・薬学委員会医療系薬学分科会(委員長:橋田充京都大学大学院薬学研究科教授)は、「医療系薬学の学術と大学院教育のあり方について」の報告書をまとめた。報告書では、教育体制の充実には人的資源確保が必要なことを強調。さらに、大学院と医療現場における交流の活性化、医療系薬学研究者や薬剤師のキャリアパスにおける流動性の確保も重要だと指摘。また、大学院で高い素養と能力を身につけた薬剤師が十分活躍する場が与えられるよう、社会あるいは医療制度改革を進めることを強く要望している。

 薬学教育6年制がスタートし、難病克服や医薬品の安全使用など社会的要請に応える上で、医療と創薬科学をつなぐ医療系薬学の研究・実践が大きな期待を集めている。また、革新的医薬品の創出が国家的目標となり、その開発基盤となる医療系薬学の学術の発展と人材養成が強く求められている。

 また、6年制と4年制学部課程を併設する新しい薬学教育制度に基づく大学院の制度設計が大きな課題となっているが、学部教育から一貫する理念と教育目標の確立が必要なことや、医療系薬学の学術・教育は従来の枠組みを超える新しい展開が期待されている半面、その内容については、議論が尽くされていないのが現状だ。

 分科会ではそうした点を踏まえて、▽医療系薬学の学術研究の使命・課題▽現在進行中の薬学教育改革における医療系薬学大学院のあり方▽目標とする人材養成像””などに関する議論を集約し、教育改革を成功に導くために必要な体制整備についての要望を、報告書の形でまとめた。

 報告書は、▽新教育制度の下での大学院教育▽学術としての医療系薬学と薬学における位置づけ▽医療系薬学研究・教育の目標、課題と大学院教育における養成人材像””などについての考えを示した。

 この中で、医療系薬学の位置づけについては、「治療の対象となる人と薬の接点を扱う学問領域とされるが、さらに生体と相互作用し治療効果を示す化学物質を、有効性・安全性が科学的、社会的に担保された医薬品に仕立て上げると共に、それを社会に供給する科学や技術も含まれる」と、幅広い概念として捉える必要性を示した。

 その上で、「これまでの薬学研究・教育が物質しての薬を基点として細分化されてきたのに対し、医療系薬学においては、患者あるいは疾病を基点とする総合的なサイエンスを構築する視点が意識されなければならない」とし、医薬品創製の基盤である基礎薬学分野、先端的創薬科学分野も含むとした。

 また医療系薬学研究・教育目標として、[1]医療系薬学研究の推進[2]医療系薬学研究者・教育者養成[3]専門薬剤師の学術基盤構築と養成[4]個別化医療の推進[5]医薬品臨床開発の学術基盤構築と人材養成[6]トランスレーショナルリサーチの推進と支援””を掲げている。

 これを踏まえ、大学院で養成する人材像に関しては、[1]創薬研究、薬物治療の最適化研究に従事する医療系薬学研究者[2]個別化医療などの高度な医療を推進する薬剤師[3]癌領域などの専門薬剤師[4]トランスレーショナルリサーチなどを推進する研究者[5]医薬工連携などを推進する医療系薬学研究者[6]医療行政をリードする薬剤師””などを挙げている。

 一方、報告書では最後に、今回の学校教育法や薬剤師法の改正に際しての、国会での付帯決議の要点を示し、「これらが薬学教育改革の実施に対し、一般社会が持つ期待と懸念を代弁したもの」との考えを示している。

 また、社会の期待に応えるためには、「医療系薬学の学部、大学院教育を真に実あるものにすることが必要で、長期実務実習の制度、指導体制、財政的基盤の確立などはまさしく不可欠な条件であり、教育行政の立場からの支援も縦横と考えられる。特に、教育体制の充実に必要な人的資源確保の問題には」十分な配慮が必要」とした。

 さらに、医療系薬学の教育が医療の進歩と不即不離の関係にあり、大学院と医療現場間における学生、教員の交流の活性化、医療系薬学研究者や薬剤師のキャリアパスにおける流動性の確保も極めて重要と指摘。同時に、新しい制度に基づく大学院には、「専門職・臨床研究者としての素養と能力を身につけた薬剤師に対し、高度化した医療とその応用の場において十分活躍の場が与えられるよう、社会あるいは医療制度の改革が進められることも、強く要望したい」としている。

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