エーザイは31日、自治体や企業などの法人を対象に認知機能セルフチェックを目的とした非医療用診断ツール「のうKNOW」を新発売する。パソコンやタブレット端末といった身近な機器で手軽に認知機能テストを行うことができ、わずか15分で脳の健康度に関する定量的な結果が得られるという。40代などの働き盛りの世代に対して、脳に関わる健康や疾患を正しく理解してもらい、日常生活の中で定期的に認知機能を測定していく機会を提供していきたい考え。
「のうKNOW」は、豪コグステイトが開発した認知機能テスト「コグステイト・ブリーフ・バッテリー(CBB)」を国内で認知機能セルフチェックのためのデジタルツールとして開発したもの。医療機器としての承認は取得しておらず、非医療機器となる。
パソコンやタブレット端末を用いた簡便なトランプテストによって、脳の反応速度と注意力、視覚学習、記憶力を評価する四つのテストを行い、脳の健康度を定量的に測定し、約15分で結果を得ることができる。結果画面には、脳の健康度を定量化した指標「ブレインパフォーマンスインデックス(BPI)」に加え、生活習慣において脳の健康度を維持するためのアドバイスも表示される。
エーザイは、アルツハイマー病(AD)治療薬「アリセプト」などの開発で培った経験を生かし、医療機関、診断薬開発企業、民間保険、介護施設などと連携して地域医療の課題解決を目指す「認知症エコシステム」の構築を図っており、認知症予防の「のうKNOW」の開発もその一環となる。
当面は自治体や企業の法人向けに販売していくが、個人向けには2020年度前半までに現在開発中の認知症エコシステムプラットフォームの会員向けスマートフォンアプリ「イージット」とのデータ連携を通じて提供開始の予定。また、欧米やニュージーランドではCBBが認知機能診断の医療機器として承認を取得しているため、国内でも医療用の診断ツールとして開発を検討していく。