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新型インフルエンザワクチン備蓄に66億円強
厚生労働省医薬食品局は、2009年度医薬関係予算概算要求の概要を公表した。要求額は163億3300万円で、08年度予算額に比べ74億5100万円、83・9%もの大幅な増額要求となって。大幅増になったのは、プレパンデミックワクチン1000万人分の備蓄をする「新型インフルエンザ対策」、08年度の倍以上の要求となる「医薬品・医療機器の安全対策の推進」などによるもの。中でも安全対策推進費の「医薬品医療機器総合機構運営交付金」には、今年度予算の4倍近くを要求し、総合機構の安全対策担当者を100人増員を目指す。
医薬食品局は概算要求に当たり、▽医薬品・医療機器の安全対策の推進(要求額=13億7700万円)▽新医薬品・医療機器の迅速な提供(9億0100万円)▽新型インフルエンザ(66億6600万円)▽薬剤師の資質の向上等(4億6300万円)▽麻薬・覚醒剤等対策の推進(3億5200万円)▽安全、安心な血液製剤の供給確保(7億2700万円)――を6本柱とした。
総合機構の100人増員目指す
中でも「医薬品・医療機器の安全対策の推進」では、総合機構で医薬品の安全対策に当たる職員を、現行の約5倍の300人に増員することなどを柱とした「薬害肝炎事件の検証および再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の組織改革案を早期に実現させるため、2・4倍以上の予算要求となって。
安全対策推進費で大きなウエイトを占める「医薬品医療機器総合機構運営交付金」は10億1400万円だが、その半分以上の6億2000万円は職員の増員に充て、市販後安全対策をより強化する。改革案では、300人に増員すべきとしているが、厚労省は「09年度は100人の増員を図る」という。
安全対策推進関連では、三つの新規事業に取り組む。一つは、「適正使用情報提供状況確認等事業費」で1800万円を計上し、製造販売業者に対して添付文書の改訂などを指示した場合に、その適正使用情報が医療現場に適切に提供され、活用されているかどうかを調査する。
二つ目は、1500万円を計上した「遺伝子多型探索調査事業費」で、海外で確立されている遺伝子多型(バイオマーカー)探索のための重篤副作用症例集積システムに関するノウハウを調査することで、わが国のデータ集積方法の改善や副作用予防対策の強化につなげる。
三つ目の「医薬品のリスク最小化管理方策の導入検討費」では、2000万円を要求した。承認審査の過程で明らかになる薬物のリスクに応じ、企業、医師、医療機関、医療従事者、患者、国の役割分担による最適なリスク最小化管理方策の策定などを検討する。
「新医薬品・医療機器の迅速な提供」は、08年度予算より4300万円の減額要求となった。新規事業の先進医療機器規制検討費(300万円)では、欧米の先進的医療機器や医療材料の制度面での実態を把握し、薬事法上の問題も検討した上で、必要なガイドラインを整備する。
また、先端医療開発特区で、再生医療や医薬品・医療機器を開発の初期段階から並行し、開発企業と厚労省、総合機構が規制に関し協議する場を設けて開発の促進を図る。
「薬剤師の資質向上」に向けては、改正薬事法に基づく新たな医薬品販売制度が円滑に実施されているかどうか、薬局等で実態調査を実施し、調査結果をもとに必要な検討を行う事業が盛り込まれ、2700万円を新規に要求する。
「新型インフルエンザ対策」では、プレパンデミックワクチン備蓄経費として66億3900万円を計上し、新たなウイルス株で製造したワクチンの購入に充てる。
「血液製剤供給確保」では、若年層の献血離れを受け、特に幼少期の親子に献血の正しい知識の普及を図り、啓発資材を製作・配布する新規事業を行うため2000万円を計上した。
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