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厚生労働省は新医薬品11成分16品目を、12日付で薬価基準へ追補収載する。内訳は内用薬3成分6品目、注射薬6成分8品目、外用薬2成分2品目。いずれも8月27日の中央社会保険医療協議会総会で、薬価算定組織の報告が了承された。今回は、ミコブディンカプセルとアービタックス、サイモグロブリンが、他に類似薬がないため原価計算方式で算定された。また、稀少疾病医薬品のマクジェンに有用性加算I(加算率35%)と市場性加算I(10%)が、ニキビ治療薬のディフェリンゲルに有効性加算II(10%)が適用された。
◇イリボー錠2・5μg、同5μg(アステラス製薬):ラモセトロン塩酸塩を有効成分とし、男性の下痢型過敏性腸症候群に用いる。類似薬効比較方式(1)で算定。セロトニン5”HT3受容体拮抗作用を持ち、大腸運動の亢進と大腸痛覚の過敏状態を改善することが臨床上有用な新規の作用機序と認められ、有用性加算II(5%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度12・7万人、20億円、ピーク時の9年目が65・9万人、112億円。
◇グラセプターカプセル0・5mg、同1mg、同5mg(アステラス製薬):タクロリムス水和物を有効成分とし、腎臓や肝臓、心臓、肺、膵臓の移植の拒絶反応の抑制、骨髄移植における拒絶反応及び移植片宿主病の抑制に用いる。同社から同一成分で1mgカプセルが販売されていることから規格間調整で算定。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度700人、4億円、ピーク時の10年目が1万25000人、161億円。
◇ミコティンカプセル150mg(ファイザー):リファブチンを有効成分とし、結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症、HIV感染患者における播種性MAC症の発症抑制に用いる。類似薬がないため原価計算方式で算定、営業利益率21・1%が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度527人、1億円0900万人、ピーク時の10年目が1608人、7億2100万円。 ◇アトワリバース静注シリンジ3mL、同6mL(テルモ):ネオスチングミンメチル硫酸塩・アトロピン硫酸塩水和物を有効成分とし、非脱分極性筋弛緩剤の作用の拮抗に用いる。類似薬効比較方式(I)で算定、市場が小さいことから市場規模加算II(5%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度8万人、4000万円、ピーク時の3年目が38万人、1億7000万円。
◇マクジェン硝子体内注射用キット0・3mg(ファイザー):ペガプタニブナトリウムを有効成分とし、中心窩下脈絡新生血管を伴う加齢黄斑変性症に用いる。類似薬効方式(I)で算定。VEGF選択的活性阻害作用を持ち、臨床上有用な新規の作用機序を有すると認められ有用性加算I(35%)、稀少疾病医薬品だが患者数が比較薬よりも増えると考えられることから市場性加算I(10%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度2879人、17億8000万円、ピーク時の10年目が1万1807人、73・6億円。
◇アービタックス注射液100mg(メルクセローノ):セツキシマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とし、EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に用いる。類似薬がないため原価計算方式で算定、営業利益率は平均の19・2%が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度1万007人、21億5000万円、ピーク時の4年目が3885人、85億8000万円。
▽ゾシン静注用2・25g、同4・5g(大鵬薬品工業):有効成分はタゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム(配合剤)を有効成分とし、敗血症、肺炎、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎に用いる。類似薬効比較方式(I)で算定。同薬剤は2剤の比較薬の組み合わせに相当する製剤で、比較薬がいずれも小児に係る用法・用量を有していることから小児加算(10%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度7000人、4億6000万円、ピーク時の7年目が13万6000人、92・4億円。
▽サイモグロブリン点滴静注用25mg(ジェンザイム):抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンを有効成分とし、中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病を適応とする。原価計算方式で算定、平均的な営業利益率は19・2%が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度153人、1億5000万円、ピーク時の10年目が1446人、13億9000万円。
▽シムレクト小児用静注用10mg(ノバルティスファーマ):バシリキシマブ(遺伝子組み換え)を有効成分とし、腎移植後の拒絶反応に用いる。小児用規格と用法用量を追加したことから規格間調整で算定。対象患者が少ないく、海外での小児を対象とした臨床試験に加え、国内で乳幼児を含む小児を対象とした治験を実施した点は評価できるが、国内治験は6例のみの成績であることを考慮し小児加算(10%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度32人、12400万円、ピーク時の10年目が66人、25700万円。
▽ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用(シェリング・プラウ):モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を有効成分とし、アレルギー性鼻炎に用いる。類似薬効比較方式(I)で算定された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度2万9100人、3億4000万円、ピーク時の6年目が72万6100人、76億7000万円。
▽ディフェリンゲル0・1%(ガルデルマ):アダパレンを有効成分とし、尋常性ざ瘡(ニキビ)に用いる。類似薬効比較方式(I)で算定。新規の作用機序有し、臨床上の有用性が認められるものの、臨床効果は一定程度であることを考慮し、有用性加算II(10%)が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度29万8000人、5億円、ピーク時の5年目が130万3000人、21億円。
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