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【医薬品開発の新潮流~プロセス変革を担うテクノロジー~】Buzzreach(スタディ・コンシェルジュ)

2020年04月24日 (金)

被験者の日常診療支援も

スタディ・コンシェルジュ

 医薬品の治験情報を提供するバズリーチは、被験者の服薬アドヒアランスを向上させ、治験コーディネーター(CRC)の業務を支援する治験管理アプリ「スタディ・コンシェルジュ」を足がかりとして、IT技術で医薬品開発と市販後の臨床現場を包括する多角的なビジネス展開を模索する。既に、製薬企業に同アプリを提供し、いくつかの治験で試験的な導入が行われている。今後は、治験終了後も被験者の日常診療を支援するツールとして同アプリの使用を継続できるようバージョンアップさせ、被験者の臨床データの追跡、患者報告となるPROの取得、それに伴い健康情報を可視化したパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)化も視野に入れる。

 代表取締役CEOの猪川崇輝氏は、「スタディ・コンシェルジュが治験や臨床研究全体に必要不可欠なインフラにまで発展すれば、患者の情報リテラシーが向上し、患者が治験で服用していた薬剤を承認後にもリクエストできる医療環境が構築できるのではないか」と述べ、ITで患者中心の医療の発展に貢献したい考えを示す。

 バズリーチは、治験情報メディア「smt(エス・エム・ティー)」、製薬企業や研究者などが治験情報を登録できるプラットフォーム「puzz(パズ)」の運営を中核事業として、製薬企業と患者をつなぐ治験情報インフラを展開。昨年にはCRCの業務支援アプリであるスタディ・コンシェルジュを開発し、事業拡大を図っている。

 同アプリは、被験者がスマートフォンなどにダウンロードすることで、被験者と製薬企業、医療機関をつなぎ、治験薬の飲み忘れや飲み過ぎなどをプッシュ通知やアラート機能を用いて被験者に知らせることができる。アプリを通じて患者の来院日の調整、身体の状況の把握、事務的な連絡なども可能であり、医療機関やCRCの負担軽減が見込まれる。

 猪川氏は、「高い費用をかけ、様々な戦略を練って被験者を募集しても、治験の途中でサポート不足により脱落する症例が1試験で多いときに20%発生すると聞いている。日本のCRCは質が高いが、人手不足でもあるので、患者とCRCをつなぐサポート支援ツールを用いてCRCの負担軽減が必要と考えた」と経緯を語る。

 また、製薬企業と患者がつながる機能も搭載しており、同意取得時や治験が終わった時のサンキューレターに加え、該当の治験薬を開発した経緯や適応症に関連した情報などが製薬企業からアプリを通じて患者に届く。患者からもアンケート形式で、自身が参加する治験に対して意見を発信でき、患者にも「自分が新薬開発に協力している」という意識が芽生えると想定。その結果、患者の情報リテラシーが向上し、本質的な患者中心の医療につながると見通す。

 中長期的には、CRCの業務支援に加え、日常診療を支援するツールとして治験終了後も継続して使えるようにバージョンアップさせる予定だ。治験に参加していた患者は、治験終了後に日常診療に戻るが、治験の機能だけダウンさせて、身体の状況や臨床データなどを記録できるPHR仕様にする。これにより、治験終了後も被験者のデータを追跡調査できる。「これまでは、治験が終わればデータの追跡は医療機関任せだったが、患者の匿名性を維持してアプリで追跡することにより、市販後の全例調査などにも活用できる」と市販後の領域にまで事業を拡大していく方針を示す。

Buzzreach(スタディ・コンシェルジュ)
https://www.buzzreach.co.jp/lp/msc/



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