ヴィードック多面展開へ
ファーマ・コンサルティング・グループは、治験関連ソリューション「Viedoc(ヴィードック)」の多面展開に乗り出す。これまで製薬企業やアカデミア向けに信頼性が高く使いやすいeクリニカルソリューションとして実績を積み上げてきたが、昨年からは新用途として製造販売後調査(PMS)での新境地を開いた。今後はEDCにとどまらず、電子患者日誌(ePRO)や治験薬供給管理、リスクベースドモニタリング支援と治験業務で必要となるあらゆる機能に対応した包括的なプラットフォームとして幅を広げる方針だ。
同社はスウェーデンを本拠とした治験関連ソリューションベンダーで、2009年に日本支社を設立した。各国の規制やガイドラインに準拠した多言語対応のEDCシステムとして認知されており、効率性とパフォーマンスの高さから医師主導治験や企業治験で多く用いられている。昨年はグローバルで前年比50%増、国内では70%増とEDC企業では世界で最も急成長している企業の一つになっている。
高成長の背景はPMS領域でヴィードックの導入が急伸したことに挙げられる。14年に日本のPMSに特化したヴィードックの新ソリューションの提供を開始し、18年に第2世代の提供を開始した。治験のGCP基準に対応した信頼性の高さに加え、PMSで要求されている仕様などを取り込んでいるのが特徴である。
PMS-EDCをめぐっては紙から電子化への流れが進む一方で導入費用が高いなど、効率性とパフォーマンスがネックとなり浸透が進まなかった。
日本支社PMS企画推進部長の山口博通氏は、「効率性・パフォーマンス、短期間でシステム構築可能、直感的に使えるシンプルな設計などの製品特性を訴求し、製薬企業や医療機関で受け入れられるようになった」と話す。
データ保管についても自社サーバーを米マイクロソフトのクラウドサーバー「アジュール」に移管したことで対応力を強化。強力な基盤を支えられ、製薬大手からは10万例を超える大規模観察研究の受託につなげた。医療機関と製薬企業間の安全で安定的なデータ送受信を支援する体制を整えている。
毎年八つの新しいリリースがあり、新しい機能と拡張機能が高頻度で追加され、完全に統合されたeクリニカルスイートの実現を目指している。日本支社ジェネラルマネージャーの中澤勇介氏は、「全ての機能が統合され、一つのデータベースのみで使用される環境を提供していきたい」との方向性を語る。治験関連文書の電子的な情報管理として「eTMF」やリスクに基づくモニタリング手法「リスクベースドモニタリング」、治験管理システム「CTMS」などの支援機能も追加する計画だ。
今後のバーチャル治験を見据え、IoTについても、自己のソフトウェアを一部公開して他のソフトウェアと機能を共有できるよう文書化されたAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を十分に保有しており、あらゆるデバイスをIoTと統合できる基盤を準備している。
4年以内に世界トップ3のEDCプロバイダーになるのが目標。スウェーデン本社は投資会社の支援を受け、開発チームの規模を倍増した。
中澤氏は、「現在の第III相試験のほとんどは20年以上前に市場で投入されたEDCプラットフォームで実施されており、将来の要件に準拠できなくなる。われわれは製品開発を進め、第III相試験で最初の選択肢になっていきたい」と臨床試験をめぐる環境変化に対応し、日本での成長を目指していく考えを示している。
ファーマ・コンサルティング・グループ(viedoc)
http://www.viedoc.co.jp/