薬害オンブズパースン会議は、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)について、「観察研究」として行われている適応外使用や承認申請された場合に慎重な対応を求める意見書を加藤勝信厚生労働相に提出した。同会議は、アビガンが季節性インフルエンザの治療薬として承認申請されたものの、「タミフル」との比較で非劣性が示せなかったばかりか、プラセボと比較した堅固な有効性の証明にも失敗した「極めて異例の手続きで承認された薬剤」と指摘。新型コロナウイルス感染症治療薬として、過剰とも言える期待を集めている状況に強い危惧を示した。
意見書では、季節性インフルエンザを対象としたアビガンの臨床試験で「プラセボに対する優越性を示すことができたのは1つのみである」と指摘。それにも関わらず、備蓄用という特殊な承認条件で承認されたアビガンが、新型コロナウイルス感染症治療薬として過剰な期待を集めていることに警鐘を鳴らした。