薬局・薬剤師にも大きな期待
「第17回国際医薬品卸連盟(IFPW)ダブリン総会」が15、16の両日(現地時間)、アイルランドの首都ダブリンで「Progress Through Partnerships」(パートナーシップによる発展)をメインテーマに開催された。グローバル化が進展する中、医薬品流通の世界的諸課題の解決には、メーカーや薬剤師などとの長期的なパートナーシップ構築が重要なキーであることが強調されたほか、伝統的な医薬品卸のビジネスモデルが変化していく必要性に迫られている現状が報告された。初日には、欧州各国の特徴的な流通モデルが紹介され、特に、英国におけるDTP(ダイレクト・ツウ・ファーマシー=メーカーから卸1社だけを介して薬局へ供給する仕組み)が話題を集めると共に、患者の安全、コンプライアンス確保のためにも、薬剤師とのパートナーシップは重要と指摘されるなど、医薬品流通における薬局・薬剤師の重要性が焦点になった。
総会冒頭、開会あいさつに立ったポール・ジュリアンIFPW会長は、▽メーカーによるノン・コアの外注化▽台頭する欧州の流通モデル▽専門薬市場の戦略的展望▽サプライチェーンの完全性▽薬局の役割(患者の安全性と患者の予後)▽医薬品流通業界のグローバル化と将来▽中国・中南米等の新興成長市場――という今回のプログラムを紹介しつつ、「将来的なグローバリゼーションでの戦略的プランニングに役立つことを期待する」と述べた。
リアム・フィッツジェラルド副会長は、「この総会は、新たなパートナーシップを築く良いチャンスであり、今後の戦略へつなげてほしい」とあいさつした。
また、アイルランド保健・児童省のメリー・ハーニー大臣は、医療費、医薬品コストが増大している現在、ヘルスケアシステム安定化と共に、政府と民間のパートナーシップが必要だと指摘した。医薬品コストをいかに下げていくかに関しては、製薬コストのほか物流コストもあるため、卸は大きな役割を担っているとしたほか、「患者が正しい薬を得られることが重要だ。適切で正しい処方による患者の安全が最優先される」と強調した。
IMSヘルスのダグ・ロング、ペア・トロエインの両氏は、「医薬品市場は低成長だが、ジェネリック薬とスペシャリティ薬市場は成長している」「BRICsをはじめとする新興成長市場7カ国の成長度はトップ8カ国の成長をはるかに上回っている」「バイオ後発品の普及が目ざましい」など、医薬品産業の世界的な傾向を解説した。
また、ダイレクトセールについて、ファイザーから始まったDTPでは、卸をロジスティック・プロバイダーとして使用していると述べた。
2日目には、メディセオ・パルタックホールディングスの熊倉貞武氏とアルフレッサの岩崎研太郎氏が登壇した。
世界的な医薬品流通に貢献した者に贈られるウィリアムL・フォード国際リーダーシップ賞は、今回、ポール・ジュリアン会長が受賞した。
なお、総会の前日に行われたIFPW理事会では、フィッツジェラルド副会長が会長に就任すること、これまでの世界5地区を北米、中南米、欧州、アジア・オセアニアの4地区に再編し、各地区3人による理事体制とすることが決定された。アジア・オセアニア地区の理事には、日本から松谷高顕日本医薬品卸業連合会会長に加え、熊倉貞武同副会長が新たに就任した。