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【アステラス製薬/マキシジェン】CTLA4‐Ig製剤を共同開発”自己免疫疾患制御で新機軸

2008年09月25日 (木)

 アステラス製薬は、米マキシジェンが実施している自己免疫疾患や手術後の免疫抑制を対象としたCTLA4‐Ig製剤を創製する前臨床開発プログラム「MAXY‐4」を共同で実施する契約を締結した。CTLA4‐Igは、T細胞の免疫応答に関わるリガンドとT細胞の結合を阻害することで、過剰な免疫反応を抑制するもの。アステラスは、CTLA4‐Igの導入によって、重点開発領域である移植・免疫領域を強化する。

 契約では、マキシジェンが創出する候補化合物について、自己免疫疾患領域については両社が共同で全世界での開発を行うと共に、マキシジェンが北米におけるコ・プロモーション権を保有する。臓器移植時の拒絶反応抑制剤については、アステラス単独で全世界での開発を進める。北米、欧州での自己免疫疾患適応症の開発費は両社で負担し、その他の地域での自己免疫疾患適応症、臓器移植時の拒絶反応抑制剤の開発費はアステラスが全額負担する。薬剤の生産については、マキシジェンが供給する原薬を用いてアステラス製薬が最終製品を製造する。

 今回の契約締結によって、アステラスが前臨床試験費用として1000万ドル、契約一時金として1000万ドル、開発目標の達成に伴い総額1億6000万ドルのマイルストン、売り上げに応じたロイヤリティを支払う。また、マキシジェンがコ・プロモーション権を行使した場合は、ロイヤルティではなく、販売国での利益を分配するという。

 CTLA4-Ig製剤は、T細胞の免疫応答を収束に向かわせる受容体「CTLA4」とIgG抗体Fc鎖部位を融合させた可溶性製剤。T細胞の活性化に関わるB7分子群と結合することで、T細胞の活性化を抑制する。両社は、蛋白改変などによって、受容体親和性や有効性を向上させた薬剤の創製を目指す。

 T細胞は、抗原提示細胞が提示した抗原ペプチドをT細胞レセプター(TCR)で認識すると共に、CD28などT細胞補助シグナル分子によって活性化され、T細胞の増殖や機能分化、サイトカイン産生が誘導される。

 CTLA4は、TCRを介した抗原刺激に加えてCD28のシグナルが入り、十分にT細胞が活性化されると、徐々にT細胞表面に発現してくる受容体。機能としては、CD28とは逆にT細胞の活性化を抑制することから、T細胞による免疫応答を収束に向かわせる分子と捉えられている。

 CTLA4のリガンドはCD28と同一で、B7分子群と結合する。リガンドに対する結合能はCD28に比べて100100倍強いため、刺激伝導を競合的に阻害することによって、T細胞の活性を抑制する。

 抗原認識時にCD28などの補助シグナルから刺激が与えられず、T細胞受容体からの抗原特異的なシグナルだけが伝達された場合には、T細胞が活性化されないだけでなく、その抗原に対して反応しない免疫不応答状態が誘導されることが分かっている。

 CTLA4‐Igは可溶性の蛋白製剤で、CD28のリガンドであるB7分子群をトラップすることで、T細胞の活性化を抑制し、自己免疫疾患などを制御することが考えられている。

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