画像化で迅速に副作用報告
キヤノンITソリューションズは、2017年にMRの副作用報告支援システム「PVリンク・カメラレポート」を上市し、導入実績を伸ばしている。医療機関で入手した第一報連絡票や詳細調査票をスマートフォンやタブレットに搭載されたカメラで撮影し、その場で画像を送付することで、迅速な副作用報告を可能とするもので、既に内資系・外資系企業含めて約10社の導入実績がある。今後も機能拡張などによって訴求していく。ITインフラソリューション事業部EDIソリューション営業本部の宮本伸男氏は、「まず既存の副作用報告EDIシステムを導入している顧客80社に向けて、PVリンク・カメラレポートの導入を目指していきたい」と話す。
同社は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が03年に電子的個別症例安全性報告(ICSR)の運用を開始したのに伴い、製薬企業向けソリューション事業に参入した。EDIシステム「EDI-マスター・デックス・フォー・メディカル」の提供に加え、17年からはMRと安全性情報管理(PV)担当の間で行われる報告業務を円滑に行うための「PVリンク」シリーズを展開している。
MR向けのシステムとしては、副作用報告を支援するPVリンク・カメラレポートを提供している。副作用報告をめぐっては、MRが医療機関で詳細調査票を入手した際に、FAXを本社に送るため、わざわざ営業所に戻ったり、近くのコンビニエンスストアを探したりといった労力を伴う場合が多く、情報漏洩やFAXの誤送信のリスクが課題となっている。
こうした中、顧客の要望に応える形で開発したのがPVリンク・カメラレポートだ。カメラで撮影した調査票をその場ですぐに本社に送付することができる仕様となっている。調査票を画像としてメールで送付することも可能だが、カメラレポートでは利便性・効率性を上げる様々なアプリケーション機能が搭載されている。
具体的には、強固なセキュリティに加え、ある程度斜めの角度から撮影しても真上から撮影したように画像を修正する台形補正や画像サイズの圧縮機能を搭載。画像を送付した後は、自動で画像のデータが削除され、端末を紛失してしまった場合でも情報が漏洩されることはない。
また、画像を複数枚送付した際には、自動でPDFファイルとして結合され、一つのデータとして処理される。受領の連絡については、自動でメール送信される。撮影の対象としては、医療機器の不具合や営業用帳票、領収書の送付も想定している。
顧客からは、MRがFAX送信に費やす移動時間や作業時間の短縮に加え、PV業務にとってもFAX受信に伴う文字切れや文字潰れの確認作業がなくなり、業務の負担が軽減できたとする声が上がっているという。
一方、PVリンクシリーズとしては、安全性情報進捗管理システム「PVリンク・レポートマネージャー」を18年に上市。カメラレポートと同様、顧客のニーズに応えて開発した。安全性情報のウェブ報告から進捗管理までをシステム化させ、業務の効率化を支援するものだ。各業務プロセスに沿った標準的な機能を搭載しており、個別にシステム開発を行った場合と比較して低コスト、短期間でシステムを構築できる。PVリンク全体としてのシナジー効果も訴求していきたい考え。
宮本氏は、「MRによる安全性情報の収集が、今後大きなテーマになると考えている。PVリンクシリーズを通じて、安全性情報に関わる顧客の課題をシステムで解決していきたい」と話している。
キヤノンITソリューションズ(PVLink Camera Report)
https://www.canon-its.co.jp/files/user/products/pvlink_cr/lp/index.html