米食品医薬品局(FDA)は11月23日、抗インフルエンザ薬ゾフルーザ(Xofluza、一般名バロキサビル マルボキシル)について、インフルエンザ感染者と接触した12歳以上の人に対する曝露後予防投与の適応追加を承認したことを発表した。曝露後予防投与とは、ウイルス感染者の接触者に対して、発症前に治療薬やワクチンを投与して発症を予防する治療法である。
ゾフルーザは、インフルエンザ発症後48時間以内で合併症のない、12歳以上の患者に対する治療薬として、2018年に最初に承認された。当初の形態は錠剤のみであったが、現在は水に溶かして服用できる懸濁用顆粒剤も利用可能となっている。
今回の適応追加承認は、家庭内でインフルエンザ罹患者と接触した人を対象とした、多施設共同ランダム化二重盲検比較試験のデータに基づいている。同試験では、12歳以上の対象者607人が、ゾフルーザの1回投与群(303人)、またはプラセボ投与群(304人)にランダムに割り付けられた。主要評価項目は、投与後10日以内に、インフルエンザウイルスに感染して、発熱または1つ以上の呼吸器症状が生じた人の割合であった。評価が可能だったゾフルーザ投与群とプラセボ投与群を比較した結果、主要評価項目を満たした人の割合は、ゾフルーザ投与群でプラセボ投与群に比べて有意に低かった(1%対13%)。この試験結果は、「The New England Journal of Medicine」7月23日号に掲載された。
ゾフルーザの副作用として最も頻繁に報告されているのは、下痢、気管支炎、悪心、副鼻腔炎、頭痛である。またFDAは、ゾフルーザの服用により、アナフィラキシーも含めた過敏症が生じることがあるとして、ゾフルーザに対する過敏症の既往がある人に、同薬を服用しないよう呼び掛けている。さらに、ゾフルーザを、乳製品やカルシウム強化飲料、下剤、制酸剤、およびカルシウムや鉄、マグネシウム、セレン、アルミニウム、亜鉛を含有するサプリメント(栄養補助食品)と同時摂取すべきではないことにも注意喚起している。
FDA医薬品評価研究センター抗ウイルス製品部門のDebra Birnkrant氏は、「2020/2021シーズンのインフルエンザ流行は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと重なるため、例年とは様相が異なることが予想されている。そうした状況下でのゾフルーザに対する適応追加承認は、インフルエンザ予防に役立つ重要な選択肢を提供することになるだろう」と述べている。
なお、承認は、Genentech USA, Inc.に対して与えられた。(HealthDay News 2020年11月24日)
Source
https://consumer.healthday.com/xofluza-approved-for-postexposure-prevention-of-flu-2649031633.html
(参考情報)
Press Release
https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-expands-approval-influenza-treatment-post-exposure-prevention