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精神神経創薬コンソーシアム「ネディック」設立”大日本住友製薬と大阪大学大学院5講座

2008年10月27日 (月)

記者会見する小野取締役(中央左)、大阪大学の遠山教授(右端)、伊藤教授(中央右)ら
記者会見する小野取締役(中央左)、大阪
大学の遠山教授(右端)、伊藤教授(中央
右)ら

 大日本住友製薬は、大阪大学大学院の医学系、薬学系5講座と連携して共同研究を行う、精神神経分野の創薬コンソーシアム「ネディック(NDDC)」を11月に設立する。統合失調症などの発症機序解明が急速に進んでおり、それを基盤にして、新しい創薬標的を見つけ出すのが狙い。各領域の研究者の連携を深め、製薬会社の創薬技術を組み合わせることによって、研究開発の効率を高め、臨床応用のスピードも早める。共同研究期間は3年間とし、3億円強の研究費を投じる計画だ。

 ネディックに参画する大阪大学大学院の講座は、医学系研究科の神経機能形態学(遠山正彌教授)、精神医学(武田雅俊教授)、分子精神神経学(伊藤彰教授、大日本住友製薬寄附講座)、薬学研究科の神経薬理学(馬場明道教授)、複合薬物動態学(松田敏夫教授)の5つ。

 同社は研究員や創薬技術などを提供し、大阪大学は創薬標的の探索や臨床評価技術の開発などを担う。

 両者の委員からなる共同研究運営委員会を設置して研究方針を決め、年に2回開く同委員会で進捗状況の把握や軌道修正などを行いながら、共同研究を進める。

 この領域では最近、疾患の発症機序の解明が急速に進展。それを背景に、偶然に頼るのでなく理詰めで創薬を行う「ラショナリティ創薬」が同領域においても可能になってきた。

 その一つとして、遺伝的要因が統合失調症の発症しやすさに影響を及ぼし、そこに関連する蛋白質が、神経回路の形成に重要な役割を担うことが分かってきたという。

 今回の共同研究では、こうした基礎研究の成果を基盤に、遺伝的要因などによって神経系障害が引き起こされ、疾患の発症に至る過程をさらに追求し、従来にない新たな創薬標的の探索を進める計画だ。

 同時に、モデル動物の作成など評価技術の開発にも取り組む。

 23日に大阪市内で開かれた記者会見で、同社取締役常務執行役員研究本部長の小野圭一氏は「最近になって、精神神経疾患の原因、病態について基礎研究がかなり進んだ。関係すると思われるリスク遺伝子もいくつか見出されてきた。今までとは違った全く新しいタイプの革新的新薬を目指した研究に着手する好機ではないかと考えた」と狙いを話した。

 同社は、精神神経疾患の複数のリスク遺伝子について研究成果を上げ、医薬系講座が連携して研究を行う大阪大学大学院の実績を評価。「この領域は複合的で複雑。ひとつの講座との共同研究だけでは良い成果を上げるのが難しい」(小野氏)として、複数の講座の研究者が連携するコンソーシアムの設立に至った。

 大阪大学大学院にとっては、同社の創薬技術の活用によって、基礎研究の成果を臨床応用に結びつけやすくなる。また、共同研究組織の形成に伴い、各講座の連携が今まで以上に深まり、研究の効率が高まると見られる。



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