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【遠言近言】老いるの個人差はどこにある。「アンチエイジング医学」の目指すもの‐星恵子

2006年2月20日 (月)

星恵子(昭和薬科大学薬物治療学教授)

 昨今、アンチエイジング(抗加齢)を目にすることが多い。不老不死の妙薬はなく、誰しも歳をとって死ぬ。そこで“理想的な死とは‥‥”。「とある日、夕食後はいつもと変わらず家族と団欒を楽しみ床に就き、朝には冷たくなっている」ことで、心身ともに健康的に歳を重ね、「ピンピン、コロリ!」とあの世に行くことである。アンチエイジング医学は、いうなれば、「ピンピン、コロリ」と理想的な死を迎えるための研究・学問と捉えることができる。

 確かに歳を重ねて老いるのは誰しも同じであるが、老いるに伴って個人差が広がる。それは、個々の老化のスピードが異なるためで、老化のスピードが早い人もいれば、遅い人もいる。“その違いはどこからくるのか?”“それを規定するのは何であるのか?”、アンチエイジング医学は、この疑問を明らかにしようと、遺伝子はじめフリーラジカル、免疫、ホルモン、栄養、エネルギー代謝等々、加齢とどのように関連するのか、また、それらが、脳機能や睡眠、心肺機能、消化器系機能、皮膚、眼、歯牙、骨・関節・筋肉、血管等に如何なる影響を及ぼすのかを研究し、その先に、健康長寿を実現可能にするものと考えられる。

 したがって、アンチエイジングに関する研究は、生物学、生理学、生化学、脳科学、内分泌学、栄養学、臨床医学等、研究分野は多岐にわたる。また、実際にそれらの研究成果を臨床の場で応用していくには、医師、薬剤師、看護師、栄養士、理学療法士などの医療に携わる人達がそれらを学び実践するとともに、広く一般の人々に対して教育・指導して、健康長寿社会を作り上げていかなければならないと思う。

 アンチエイジング医学の流れを世界的にみてみると、1992年に米国抗加齢医学会(American Academy of Anti-Aging Medicine; A4M)が設立され、以後、シンガポール(Asia”Pacific Conference on Anti-Aging Medicine)、フランス(ヨーロッパ抗加齢医学会主催によるAnti-Aging World Conference)、アラブ首長国連邦(Middle-East Anti-Aging Conference)、メキシコ(Latin American Congress of Anti-Aging and Aesthetic Medicine)、韓国で抗加齢医学会が開催されている。

 日本でも日本抗加齢医学会(http://www.anti-aging.gr.jp)が発足されて今年で6年になる。2005年の5月12日(日)には第1回アンチエイジング医学の専門医、指導士の認定試験が京都で行なわれ、専門医試験には246名が、指導士試験には40名が受験したと聞く。専門医、指導士の資格を生かす場面はまだまだ少ないが、私がいる薬科大学からみて、たとえば、薬剤師にとって身近な存在である漢方やハーブ、さらにはサプリメントなどの知識はアンチエイジング医学にとって必須であり、今やエビデンス無くしてハーブもサプリメントもあり得ない。医療に携わる者にとって、アンチエイジング医学は医薬ならびにその周辺の幅広い知識を身につけるという観点から、また、患者さんを全人的に捉えて関わっていく上で極めて重要と思われる。また、何の根拠もないのにアンチエイジングに効くとうたっていろいろな物が売られるのを阻止するためにも、よい意味で広がっていってほしいと思う。




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