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【遠言近言】「むくみ」と「リンパドレナージュ」、いま脚光を浴びるのはなぜ‐廣田彰男

2006年2月27日 (月)

廣田彰男(広田内科クリニック院長)

 最近、リンパの流れを良くする「リンパドレナージュ」という言葉をよく聞くようになりました。これは主に若い女性の間では、美容的な、半ばファッションのような、そして神秘的でさえある響きがあります。リンパドレナージュで、むくみが消える、やせる、そして、リラックスできて心地良い。そんな事に価値を見出しているようです。

 そんなにリンパドレナージュは良いものなのでしょうか?。肉体的、精神的にそんなに役に立つものなのでしょうか?。そして、リンパドレナージュとはそんなに特殊な力を持っているのでしょうか?。答えは、禅問答みたいですが、そうでもあり、そうでもない、とも言えます。

 リンパ系というのは、一般的にはリンパ循環と言われ、動脈や静脈と共に血液・体液の循環の一環として認識されています。ですが、循環におけるリンパ系の役割は意外と少なく、体液量に関して言えば、心臓から動脈を経て末梢組織に到達した体液は、組織を潤した後、静脈へは90%、リンパ系へは10%しか還流しません。

 一方で、むくみとは一旦血管外に出た体液が血管外の組織間隙に過剰に溜まったものですから、その大部分(90%)を静脈が排除し、リンパ系は残りの僅かしか排除しないことになります。そうしますと、むくみを取るには静脈の流れを良くした方が効率的な筈です。なのに、むくみを取るのにリンパドレナージュがもてはやされるのです。

 簡単に申しますと、このしくみはバスタブと、その内壁にある側孔の関係に例えることができます。蛇口から出てバスタブに溜まったお湯のほとんどすべては、使った後、排水管に流れていきます。ですが、お湯を溜める時もしお湯が一杯になってきたら、側孔から排水されて、お湯が溢れないようにできています。ここで排水管は静脈、側孔はリンパ管にあたります。むくみは溢れたお湯にあたりますから、リンパ系はむくみが溜まると一生懸命働き始めて、むくみをなくすように働きます。

 このように、リンパ系(側孔)の働きの本質は、「組織(バスタブ)の環境を一定の良い状態に保つように、裏方として働いている」ことなのです。その一環としてリンパドレナージュがむくみを取ってくれる方法として脚光を浴び始めたのですが、一方で長いこと裏方に慣れてきたリンパ系はきっと戸惑っていることでしょう。




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