保科清(山王病院小児科部長)
今まで麻しんと風しんとが別々のワクチンでしたが、4月から変わって、麻しん・風しん混合ワクチン(MRワクチン)の2種が混合されたワクチンとなります。
ワクチンが変わることにより、接種方法も変わります。平成17年4月2日以後に生まれたお子さんが、1歳になった時点から接種可能です。その上に、小学校に入学する前の1年間に2回目の接種をすることになりました。
なぜ、2回も接種するのか?
麻しん予防接種を全国的に開始してから約20年が経過して、麻しんワクチンを接種したのに成人になってから麻しんにかかることもあるとわかったからです。そのために麻しんワクチンの2回接種が望まれていたのですが、今度、MRワクチンとなることに合わせ、2回接種に厚生労働省も踏み切ったのです。
残念ながら、平成17年4月1日以前に生まれたお子さんは、麻しんと風しんのワクチンを別々に接種しなければなりませんが、少なくとも平成18年3月に1歳になるお子さんは接種を少し遅らせて4月にMRワクチンを接種しても良いことになっていますが、その間に麻しんが流行しないとは限りませんので、その点は注意が必要です。
今までに麻しんか風しんかのどちらかを単独ワクチンで接種したお子さんは、残る方も単独ワクチンで接種する必要があります。おそらく3年後からは、これら単独ワクチンを接種したお子さんにも、小学校入学前に2回目をMRワクチンで接種できるようになるでしょう。
外国では、麻しん・風しん・おたふくかぜの3種を混ぜたMMRワクチンの2回接種が行われております。日本でも一時はMMRワクチンが接種されましたが、副反応が多くて中断したままでした。少しは、諸外国に近づいていますが、予防接種に関しては、日本は世界の後進国です。子どものための予防接種が、早く世界の先進国になって欲しいと小児科医は望んでいるのですが、遅々として進みません。