厚生労働省の2009年度予算案(当初内示)は25兆0866億円で、今年度より2兆9644億円、13・4%増となった。このうち社会保障費は24兆5917億円で、2兆9781億円(13・8%)の大幅な伸びを示した。来年4月から基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1から2分の1に引き上げるため、「年金」が前年比2兆4318億円の増加となったことが最大の要因。社会保障費自然増2200億円の削減額を、後発品の使用促進による230億円のみにとどめたことも影響した。
グローバル臨床研究拠点も整備
厚労省予算案の大半を占める社会保障関係費の内訳は、▽医療9兆0252億円(全体の36・7%)▽年金9兆8692億円(40・1%)▽介護1兆9699億円(8・0%)▽福祉等3兆5377億円(14・4%)――などとなっている。科学技術振興費は1070億円で前年比66億円の減少だった。
医薬品関係分野では、「革新的な医薬品・医療機器の創出」に251億円を計上した。そのうち、231億円を充て、癌や精神神経疾患、難病などの重大疾病領域、希少疾病領域、テーラーメイド医療、再生医療などの新たな技術領域を重視するほか、先端医療研究拠点を中核とした複合体に対して研究資金の弾力的な運用や開発段階からの薬事相談を試行的に行う先端医療開発特区(スーパー特区)による実用化促進を含め、革新的医薬品・医療機器の研究開発を推進する。
また、外国の研究機関との共同研究計画の作成や契約などの一括実施が可能な「世界に通ずる臨床研究拠点(グローバル臨床研究拠点)」の整備に、新規事業として4億円が計上された。後発品の使用促進には3・1億円を充て、品質・安定供給の確保、情報提供の充実および普及啓発活動などによる環境整備に関する事業を行う。
医薬品・医療機器の安全対策の推進には10億円を計上。医薬品・医療機器による健康被害の再発防止を図る観点から、安全性に関する情報の収集・分析・評価体制を充実させるため、医薬品医療機器総合機構職員の増員、新たなリスク管理手法の検討など、医薬品の市販後安全対策の強化を図る。
また、国内外で開発された有効で安全な新医薬品・医療機器を迅速に提供できるようにするため、7・8億円を充て、日米欧3極における医薬品の国際共同治験に関する相談体制の整備や、日米両国における医療機器の同時審査のための検討を行う。
医師と医療関係職種との協働の充実には、3・2億円を計上。医師と薬剤師の協働を進めるため、癌薬物療法など専門知識を持つ薬剤師や、薬局・病院での実務研修を指導する薬剤師の養成など、資質向上策の充実に1・8億円を充てる。
癌対策の推進では、放射線療法・化学療法や治療の初期段階からの緩和ケアを推進するため、39億円を計上し、医療従事者に対する研修などを行う。
医療関係分野では、安心で質の高い医療提供体制の充実を図るため、医師等人材確保対策の推進に350億円を充てる。病院勤務医の負担軽減措置に4・3億円を計上し、夜勤明けの連続勤務を行わないよう、交代勤務制・変則勤務制などの導入促進を図る病院に対し、代替職員の雇い上げに必要な経費を支援する。
難病対策の一層の推進に1512億円を計上。特定疾患治療研究を進めると共に、難病相談・支援センター事業により、地域における難病患者の生活支援の推進を図る。