協和発酵キリンは19日、遺伝子組み換え型ヒト顆粒球コロニー形成刺激因子(G‐CSF)製剤「ノイアップ」の製造販売権を第三者の製薬企業に譲渡すると発表した。公正取引委員会から協和発酵とキリンファーマの合併に関し、G‐CSFの取引分野における競争上の懸念が指摘されたことを受けた措置。2010年3月末までに譲渡を行うとしている。
旧協和発酵と旧キリンファーマの合併後、協和発酵キリンのG‐CSF市場シェアは、旧協和発酵の「ノイアップ」、旧キリンファーマの「グラン」を合わせて60%と第1位となった。
これにより、G‐CSF市場における企業数は2社のみとなることから、公取委は「合併によってノイアップの競争促進効果が失われ、協和発酵キリンの単独行動によって一定の取引分野における競争を、実質的に制限することになるおそれがある」としていた。
さらに、協和発酵キリンの誕生でG‐CSF市場の企業数が3社から2社へと減少すること、新規参入の可能性が当面期待できないことなどから、協和発酵キリンと他社の協調的行動に対する十分な牽制力が働かないと評価。公取委としてG‐CSFの取引分野における競争上の懸念を指摘していた。
これに対し、協和発酵キリン側は「ノイアップの製造販売権等を第三者の製薬会社に譲渡する」との問題解消措置を申し出たところ、公取委は「協和発酵キリンが申し出た措置が確実に履行されるのであれば、協和発酵とキリンファーマの合併で、G‐CSFの取引分野における競争を実質的に制限することとはならず、独占禁止法の規定に違反するおそれはない」と判断した。
今回の指摘を受け、協和発酵キリンは「競争上の懸念を受けたことを真摯に受け止めると共に、問題解消措置を確実に履行し、今後とも公正な競争の維持に努める」とのコメントを発表している。