ユーザーに42講座無料提供
日本薬剤師研修センターの認証を受けた研修実施機関である医歯薬アドバンス365が運営する「かかりつけ薬剤師.COM」は、質の高い42講座を無料で提供している。ユーザー登録から研修受講シールの申請までオンラインで完結でき、コロナ禍の影響でモバイル端末からのアクセスを中心にユーザー数が伸長。今後、薬剤師国家試験や薬局の開設に関する講座なども追加提供したい考えだ。
同社は日本薬剤師研修センターが認証する研修会実施機関の一つで、e-ラーニングサイトである、かかりつけ薬剤師.COMを2017年から運営している。
かかりつけ薬剤師と病院薬剤師向けに展開している同サービスでは、スマートフォンやパソコン等の端末を通じてオンラインで1単位90分の講座を受講することで、研修認定薬剤師の新規申請と更新に必要な単位を取得できる。
42講座を無料で提供しており、現在のユーザー数は約5000人。1講座のみ受講する人もいるが、1人当たりの平均受講数は5~6としている。
講座内容は、学会が作成するガイドラインがある分野に絞って制作している。一例として、血液検査に関する講座では、検査結果を処方箋に印刷する病院も見られるほか、患者も結果に興味を示す人が多いとして、登録ユーザー数が多い。
また、抗菌薬の使用量削減という世界的な潮流も講座内容に反映しているという。
42講座全てで制作と監修を担当している医師の十川康弘氏は、「薬局で学べる機会が少ないものにユーザー数が多い傾向が見られる。ユーザーが理解しやすいよう内容をかみ砕きつつ、充実したものにするよう注力して作っているので、実践でかなり役立つと自負している」と語る。
病院薬剤師向けの講座として、十川氏が勤務していた栃木県の上都賀総合病院1施設を対象に、医療安全や院内感染等の院内研修に活用できるコンテンツを提供している。
ユーザーが発音を聞き取りやすいよう、解説には人工音声を使用しているほか、英語の訳語も聞き取りやすくなるよう心がけている。
十川氏は、今後の講座展開について「必要な単位を取得したユーザーはアクセスしなくなると思うので、頻繁に訪れてもらえるような役立つ、教育的なコンテンツを作りたい」とする一方、「質の維持を考慮すると、年間5講座程度増やせれば良い」と語る。
具体的には、国家試験や、薬局の開業に関する講座を来年度以降に提供したい考えだ。
サービス開始時から、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末からの受講にも対応しており、時間や場所にとらわれず学習できることも強みだ。昨年度のユーザー割合をツール別に見ると、スマートフォンが48.9%と全体の半数を占め、タブレットからのアクセスも7.2%と、モバイル端末がデスクトップパソコンの利用者数を上回っている。
ユーザー登録から受講、研修受講シールの申請まで全てオンラインで完結でき、1講座ごとに受講、申請、決済が可能としている。1講座ごとの料金体系としているため、年会費はかからず、ユーザーは研修受講シールの申請に必要な600円を負担するだけ。シールの発送も、入金確認から1週間以内とスピーディだ。
データへの不正アクセス対策など個人情報保護にも注力する。講座に関するデータとユーザーデータはそれぞれ異なるサーバーで運用しており、ユーザーデータに関するサーバーは外部から直接アクセスできない仕組みとなっている。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、対面による研修会が減少したことなどから、同サービスのユーザー数も伸長した。昨年2~3月にかけてアクセス数が急増し、昨年度は、前年度と比べて研修受講シールの申請件数が3倍程度増加した。一方、今年度以降はこの伸びが一段落するとの見通しも示している。
十川純子代表理事は、今後のサービスの方向性として、ユーザー間のコミュニケーション促進を図りたい考え。具体的内容の検討はこれからとしつつ、「ユーザーにメリットがあり、社会貢献を目的としたつながりを構築したい」と語った。
医歯薬アドバンス365
https://www.かかりつけ薬剤師.com/